米自動車業界6団体、中国車の米国市場参入阻止政策の維持を要請

(米国、中国)

ニューヨーク発

2026年09月24日

在米自動車メーカー、ディーラー、サプライヤーを代表する6団体(注1)は9月17日、同月23日からの中国の習近平国家主席の訪米前に、中国系自動車メーカーによる米国内での販売、輸入、製造を阻止する政権の政策の維持を要請する書簡をドナルド・トランプ大統領に提出した。「ロイター(9月18日)」「デトロイト・ニュース(同日)」「ザ・ヒル(同日)」など、複数のメディアが書簡の内容とともに報じた。

書簡はまず、トランプ政権のこれまでの政策が、米国自動車産業の競争力強化、労働者の繁栄、消費者の車種選択の拡大、手頃な価格の実現を促してきたと評価した。その上で、中国政府は不公正貿易、反競争的な補助金、知的財産の窃取、監視活動など、市場原理に基づかない産業政策を通じて、世界の貿易・市場をゆがめてきたと指摘。特に自動車・重要サプライチェーンでは、収益性より急速な成長・拡大を優先し、世界の製造業を支配して競合企業を排除しようとしていると批判した。

さらに、中国メーカーによる米国内生産を認めた場合、既存メーカーから中国企業への雇用の移転につながり、新たな製造業雇用の創出にはつながらないと主張した。また、中国メーカーが米国内で生産してもサプライヤーや部品を中国に依存する構造は変わらず、コネクテッドカーを巡る安全保障上の脅威は解消されないと指摘した(注2)。

トランプ大統領は、9月11日放映のFOXニュースの番組「イングラハム・アングル(The Ingraham Angle)」に出演した際、「もし中国が参入し、ここで車を製造する工場を開設したいと言うなら、私はそれでも構わない。日本はそうしているが、(日本人は)米国人を雇用している。重要なのは米国人の雇用だ。私が望まないのは、彼らがメキシコで安く生産し、国境を越えてこちらに輸送してくることだ」と発言した。

これに対し、産業界のみならず民主・共和両党の議員からも警戒感を示す動きが相次いでいる。米下院中国特別委員会のジョン・ムーレナー委員長(共和党、ミシガン州)は9月18日、コネクテッド技術の輸入規制強化の要請を含む書簡をトランプ大統領に提出。また、デビー・ディンゲル議員(民主党、ミシガン州)ら27人の民主党下院議員も9月21日の書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、米国での生産阻止を強く求めた。米中首脳会談において関連分野がどのように扱われるかが注目される。

(注1)今回署名した次の6団体のメンバーには、ゼネラルモータズ(GM)やトヨタ、現代、フォルクスワーゲンなど、米国、外国双方の自動車メーカーが含まれる。さらに、テスラやリビアンといった新興電気自動車(EV)メーカー、SKなどのバッテリーメーカー、EVgoなどの充電ネットワークに加え、1万6,000以上の販売店、1,000以上の部品メーカーも含まれる。

(注2)中国製自動車の米国市場参入を巡っては、1974年通商法301条による追加関税(2024年5月15日記事参照)や、「コネクテッドカーにおける情報通信技術サービス(ICTS)サプライチェーン保護」(コネクテッドカー規制、2025年1月15日記事参照)などによって参入障壁が設けられている。さらに、議会でも、中国企業の参入をより厳しく制限する立法措置導入に向けた動きが超党派で進んでいる(2026年7月27日記事参照)。

(大原典子)

(米国、中国)

ビジネス短信 873e0d778d23c2d9