米上院委員会、「コネクテッドビークル安全保障法案」を承認、本会議へ
(米国、中国、ロシア、北朝鮮、イラン)
ニューヨーク発
2026年07月27日
米国上院商務・科学・運輸委員会は7月22日、安全保障上の敵対国(foreign adversaries、以下、対象国)とされる中国、ロシア、北朝鮮、イランが関連するコネクテッドカーの輸入、製造、販売などや、関連ソフトウエア、ハードウエアの対象車両への組み込みを禁止する「コネクテッドビークル安全保障法(Connected Vehicle Security Act of 2026)」(S.4429)について、修正案を採択し、法案を承認
した。法案は今後、上院本会議での審議に移る見通しだ。
同法案の原案は、バーニー・モレノ上院議員(共和党・オハイオ州)とエリッサ・スロットキン上院議員(民主党・ミシガン州)により、超党派で2026年4月29日に提出されたもの(2026年5月7日記事参照)。今回の修正案には、主に次の内容が盛り込まれた。
(1)コネクテッドカーの設計、開発、製造、供給が、対象国で行われた場合、または、製造者、開発者、設計者、供給者が、対象国の事業体から15%超の支配を受ける場合、2027年1月1日以降、当該コネクテッドカーの輸入、製造、販売などを禁止する、
(2)ソフトウエアの設計、開発、製造、供給が対象国で行われた場合、または、製造者、開発者、設計者、供給者が、対象国の事業体から25%超の支配を受ける場合、米国において、2027年1月1日以降に輸入、製造、販売などが行われるコネクテッドカーに対し、当該ソフトウエアを組み込むことを禁止する。ただし、対象となるコネクテッドカーは2027年モデル以降に限る。
(3)車載用ハードウエアの製造、供給が対象国で行われた場合、または、製造者あるいは供給者が、対象国の事業体から25%超の支配を受ける場合、米国において、2030年1月1日以降に、輸入、製造、販売などが行われるコネクテッドカーに対し、当該ハードウエアを組み込むことを禁止する(注1)。
今回の承認に対し、業界からは歓迎する声が相次いだ。国際ブランド車のディーラーを代表する米国国際自動車ディーラー協会(AIADA)のコーディ・ラスク会長兼CEO(最高経営責任者)は、「中国の自動車メーカーは、政府補助金や問題のある労働慣行に支えられた人為的に低い価格で米国市場に参入し、米国の自動車産業を壊滅させようとしている。彼らは米国自動車市場を支配し、米国民を中国製品や中国技術に依存させることを狙っている」と述べた。また、全米自動車労働組合(UAW)も「米国の製造業とアメリカンドリームを守るための重要な一歩だ」と評価
した(注2)。
(注1)車載用ハードウエアについて、4月29日提出の原案では、ハードウエア自体の輸入、製造、販売などを禁止対象としていたが、修正案では、対象車両への組み込みを禁止する内容に変更された。
(注2)中国などが関与するコネクテッドカーの米国市場への参入を制限するため、米国では輸入・販売などを規制する制度が導入されている(2025年6月11日付地域・分析レポート参照)。しかし、同規制には特定許可制度が設けられており、同許可を取得した中国の吉利控股集団(ジーリー)傘下のボルボは米国での事業を継続する見通しだ(2026年5月28日記事参照)。一方、今回の法案が成立した場合、ボルボに加え、中国系投資家が約20%の株式を保有するメルセデス・ベンツも禁止対象となる可能性が指摘されている(CNBC 7月22日)。法案には前述のとおり、中国資本による15%超の株式保有を対象とする規定が盛り込まれているためだ。これについて、上院商業・科学・運輸委員会のテッド・クルーズ委員長は、メルセデス・ベンツを適用対象とすることは「決して考えていない」と述べ、法案成立に向けて内容を修正する必要があるとの認識を示した。
(大原典子)
(米国、中国、ロシア、北朝鮮、イラン)
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