フィリピン高度人材ウェビナー開催、採用手続きに課題も人材への関心高まる
(フィリピン、日本)
マニラ発
2026年09月28日
ジェトロは9月8日、ウェビナー「フィリピンからの高度外国人材の雇用の実態と手続き」を開催した。高度外国人材(注1)の採用や支援に関心のある日本企業や自治体など110人超が参加した。終了後のアンケートでは、9割を超える参加者がフィリピン高度外国人材の採用への関心が高まったと回答した(注2)。
まず、ワンアジアローヤーズグループ(One Asia Lawyers Group)の難波泰明弁護士が、フィリピン人材採用時に必要な手続きを解説した。フィリピンでは国が海外への人材送り出しを管理しているため、日本側での在留資格や査証取得に加え、出国許可証(OEC)の取得が必要となる。また、移住労働者省(DMW)認可の送り出し機関(PRA)の選定や移住労働者事務所(MWO)を通じた雇用主認定申請、DMWでの求人票登録など、採用までの流れを説明した。
フィリピン人材採用時の手続きについて解説する難波氏(ジェトロ撮影)
続いて、協和プレス工業(和歌山県紀の川市)の野村壮吾代表取締役社長が登壇し、30年にわたり、約30人の外国人材を雇用してきた経験を紹介した。採用市場を海外へ広げることで、専門性を備え、現場改善にも取り組める人材の確保につながったと説明した。「採用は出発点であり、成長し定着してもらうことがゴール」と述べ、キャリアアップできる職場づくりと、地域で安心して暮らせる環境整備が定着のカギであると強調した。
最後に、アテネオ・デ・マニラ大学日本研究プログラム講師の太田リーシング貴氏が、同大学の日本研究副専攻プログラムの概要を紹介した(注3)。また、フィリピンの若者は家族の幸福や社会貢献、スキルアップを重視する傾向があるほか、就職先として地場大手企業や日系以外の外資系企業の人気が高いと説明した。その上で、日本企業には人材が活躍できる環境づくりと日本で働く魅力の発信が重要だと指摘した。
参加者アンケートの結果、採用時の手続きへの関心が特に高く、「採用手続き(事前審査など)のハードルが高いと感じた」との声も複数寄せられた。一方、フィリピンの大学訪問や大学生との交流機会に対しては8割超が関心を示し、3分の1を超える企業が現地渡航を含めた参加を検討すると回答した(注4)。制度面での手続きの複雑さは課題として残るものの、フィリピンの高度外国人材に対する関心の高さがうかがえる結果となった。
(注1)ジェトロでは次の1~3の条件を全て満たす人々を高度外国人材とみなし、その活躍を応援している。
- 在留資格「高度専門職」および「専門的・技術的分野」のうち、原則として「研究」「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」「法律・会計業務」に該当するもの。
- 採用された場合、企業において研究者やエンジニアなどの専門職、海外進出などを担当する営業職、法務・会計などの専門職、経営に関わる役員や管理職などに従事するもの。
- 日本国内または海外の大学・大学院卒業と同等程度の最終学歴を有するもの。
(注2)有効回答数は87件。
(注3)アテネオ・デ・マニラ大学の日本研究プログラムについては2026年2月24日付地域・分析レポート参照。
(注4)有効回答数は85件。
(神田桃佳)
(フィリピン、日本)
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