米USAレアアース、量子技術活用でレアアース分離技術開発へ
(米国、フランス)
サンフランシスコ発
2026年09月28日
重要鉱物の採掘や加工、永久磁石の製造などを行う米国のUSAレアアース(USAR、本社:オクラホマ州)は9月17日、量子コンピューティング企業のパスカル(Pasqal、本社:フランス・パリ)および産業向け人工知能(AI)開発企業のリブン・システムズ(Riven Systems、本社:ニューヨーク州)と、レアアース・バリューチェーン向け次世代分離技術の開発に向けた戦略的提携を発表
した。
今回の提携では、量子機械学習を活用し、既存の抽出剤よりレアアース(希土類、注)との結合性能が高い分離用分子を探索する。3社は、より小規模で低コスト、かつエネルギー消費の少ないレアアース処理設備の実現を目指す。
計画では、機械学習、自動実験、量子コンピューティングを活用する。リブン・システムズは、数千件の自動実験を行い、レアアース元素に対する抽出剤の選択性を予測する機械学習モデルの訓練データを生成する。パスカルは、中性原子方式の量子プロセッシングユニット(QPU)を用い、量子機械学習モデルと従来型計算に基づくモデルを比較評価する。その成果を基に、USARがレアアース分離工程で用いる抽出剤の選定を最適化する。レアアースの分離・精製工程について、USARは、中国が特にジスプロシウム、テルビウム、イットリウムなどの重要な重希土類を分離する能力で優位にあると説明している。
USARは9月4日、ブラジルのレアアース生産企業セラ・ベルデグループ(Serra Verde Group)との統合完了を発表
したほか、9月9日にはサウスカロライナ州でレアアース金属・永久磁石工場の建設に着手したと発表
した(2026年6月9日記事参照)。同社は、採掘から永久磁石の製造までを一貫して手掛ける「マイン・トゥ・マグネット(Mine-to-Magnet)」バリューチェーンの構築を進めている。こうした取り組みは、米エネルギー省(DOE)が「ジェネシス・ミッション(Genesis Mission)」の下で進める、AIを活用した重要鉱物サプライチェーン強化の方向性とも重なる。
(注)レアアースは、ネオジム、ジスプロシウム、テルビウムなど17元素の総称。電気自動車(EV)用モーター、半導体製造装置、防衛機器などに使用される。
(芦崎暢)
(米国、フランス)
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