中国商務部、カンボジアと第三国の貿易措置に関する意思疎通強化に合意、タイとはサプライチェーン協力を強化

(中国、タイ、カンボジア)

北京発

2026年08月05日

中国商務部は7月20日、王文涛商務部長とカンボジアのチャム・ニモル商業相が「第三国の貿易措置を背景とする協力強化と相互理解に関する覚書(MOU)」に署名したと発表した。

商務部の発表によると、双方は、第三国の貿易措置に関連する共通の関心事項についてオープンで建設的な対話を継続することに合意した。また、両国の経済貿易関係に影響を与える可能性のある関連措置の解釈や実施に関する意思疎通を強化し、理解を増進し、透明性を向上させるとした。カンボジア側は、同国と第三国との貿易措置は、同国が中国と締結したいかなる協定にも影響を与えるものではなく、中国の利益を損なうものでもないと表明したほか、同国は中国を対象または実質的に対象とする、中国とASEANの経済貿易協力を妨げる差別的措置を導入・実施することはないと表明したとしている。

李成鋼商務部副部長は2025年11月、米国トランプ政権とカンボジア政府が結んだ通商合意(2025年10月28日記事参照)を踏まえて、カンボジアが米国などと締結した経済貿易協定の内容が中国の利益を損なうことのないようカンボジア側に対応を求めていた(2025年12月2日記事参照、注1)。

また、商務部は同じく7月20日に、李強首相とタイのアヌティン・チャーンウィラクン首相(注2)の立ち会いの下で、王商務部長とタイのスパジー・スタンパン副首相兼商務相が北京市で「中国とタイの産業・サプライチェーンに関する経済協力強化に関する覚書(MOU)」に署名したと発表した。商務部の発表によると、両国はMOUに基づき、産業・サプライチェーンに関する経済協力を強化し、定期的に会議を開催し、両国の関連政府部門や地方、企業が実務的な協力を強化、促進することを支援することに合意した。商務部はMOUの締結が、中国とタイの間での実務的で効果的な産業・サプライチェーンの協力プラットフォームの構築や両国の産業・サプライチェーンの安全性や強靭(きょうじん)性(レジリエンス)、円滑性の維持につながると評価している。

中国は2025年10月に署名した中国・ASEAN自由貿易協定(ACFTA)3.0アップグレード議定書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(本稿執筆時点で未発効)において、サプライチェーンに関する協力を規定した章を新たに盛り込むなど、ASEAN各国とのサプライチェーン協力を強化する姿勢を示している(2025年11月17日記事参照)。

(注1)商務部傘下のメディア「国際商報」は、カンボジアやマレーシアが米国と署名した相互貿易協定には、いわゆるポイズンピル(毒薬)条項が多数盛り込まれていると指摘し、米国が2国間貿易協定に第三者への差別的条項を盛り込む行為は、相手国の主権を損ない多国間貿易体制の無差別原則を破壊するものであり、中国はこうした条項の具体的な影響や実施状況を注視し、必要な対応を取っていくと表明していた(「国際商報」2025年11月30日)。

(注2)アヌティン首相は7月16~20日、中国を公式訪問した。同訪問の内容に関して、中国側発表は2026年7月27日記事7月29日記事を、タイ側発表は2026年7月27日記事をそれぞれ参照。

(小宮昇平)

(中国、タイ、カンボジア)