ドイツ連立与党、景気回復と雇用に向けた34項目の改革パッケージを公表
(ドイツ)
ベルリン発
2026年07月10日
ドイツの連立与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)は7月2日、「景気回復と雇用のためのプログラム
」と題した改革パッケージを公表した(プレスリリース
)。34項目で構成され、年金、税制、労働市場、産業政策、エネルギー、住宅、行政改革など幅広い分野を対象とする。連立与党は、技術革新や人口動態の変化、地政学的緊張の高まりや世界的な貿易環境の変化などを背景に、成長と競争力の強化、雇用の確保、医療制度と年金の確保を柱とする改革方針を示した。
企業活動に関連する施策では、労働市場改革や規制改革が盛り込まれた。労働市場分野では、客観的事由のない有期雇用契約の上限期間を、2030年末までに採用された労働者を対象に、現行の24カ月から最長48カ月までに拡大する。また、電話による病欠証明制度を廃止し、病欠初日から就労不能証明書の提出を義務付ける。
規制・制度面では、データ保護制度の簡素化を進める。一般データ保護規則(GDPR)の運用で認められる裁量を活用するとともに、EUレベルでは中小企業や低リスクのデータ処理をGDPRの適用対象から除外するよう求める。また、企業に関する報告義務や文書化義務の削減を進めるほか、申請受理後4カ月以内に当局が異議を示さなければ承認されたものとみなす「みなし承認制度」の導入を進める。さらに、企業持続可能性デューディリジェンス指令(CSDDD)については、EU指令を上乗せ規制なしで実施する方針を示した。
産業政策では、自動車、化学、製薬、クリーンテック、循環型経済、機械、電池、半導体、人工知能(AI)を重点分野として位置付けた。自動運転の導入促進やデータセンター誘致に向けた制度整備を進めるほか、「ドイツ基金」(2025年12月3日記事参照)を戦略的投資のための手段へと発展させ、原材料調達やエネルギーインフラ分野への投資を促進することで、経済安全保障政策の柱と位置付ける。
エネルギー分野では、配電網整備の迅速化に向けた「配電網パッケージ」を2026年末までに策定し、配電網整備期間の半減と、近代化・デジタル化を推進する。また、新たな対外経済戦略の策定を進めるとともに、EUで検討されている産業加速法案(IAA)(2026年3月13日記事、3月19日記事参照)の早期成立や、戦略分野におけるEU優先ルールの導入を支持する方針を示した。
このほか、年金改革パッケージの実施や、2027年からの所得税改革も盛り込まれた。連立与党は今後、今回の合意内容に基づき各施策の導入・実施を進める方針だ。
(中山裕貴)
(ドイツ)
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