欧州委の産業加速法案に対しドイツ産業界から相次ぎ懸念表明、規制負担と競争力低下を指摘
(ドイツ、EU)
ベルリン発
2026年03月19日
欧州委員会が3月4日に産業加速法案(Industrial Accelerator Act、IAA)を発表(2026年3月13日記事参照)したことを受け、ドイツ国内の産業団体が相次いで声明を公表した。ドイツ産業界からは、規制負担増加や競争力低下への懸念が示された。
ドイツ産業連盟(BDI)
は3月5日、成長の加速策ではなく、むしろ官僚主義のリスクになっていると指摘。また、欧州は、公正な競争、回復力のあるサプライチェーン、そして貿易パートナーの技術に依存しており、公共調達や財政支援における「域内産(Made in EU)」の要件を課すいわゆる「バイ・ヨーロピアン(Buy European)」規定が、産業政策の標準になってはならないと指摘した。
ドイツ商工会議所連合会(DIHK)
は3月4日、保護主義は成長の加速策ではなく、欧州の産業には新たな制約ではなく自由が必要と表明。ドイツの産業界が今最も必要としているのは、欧州でのビジネスが誰にとってもよりシンプルで、より低コストになるというメッセージだと指摘した。DIHKの最新の調査では、回答企業の4分の3が「バイ・ヨーロピアン」規定は自社の事業に著しい影響(正・負を問わない)を与える見込みと回答。最大の懸念は追加的な官僚主義で、55%が原産地証明により事務手続きの負担が増えると予想した。また、42%が生産コストの上昇を見込む一方、ほぼ同数の43% が EU域内市場での競争力向上も期待。競争力向上への期待と追加コストへの懸念はほぼ拮抗(きっこう)している。36%の企業は、貿易相手国からの反発や、重要な第三国市場へのアクセスが難しくなることを懸念。29%が既存のサプライヤーを失うリスクがあると回答した。
ドイツ自動車工業会(VDA)
は同日、今回提案された法案では、競争力の向上にも、過剰な規制からの脱却にもつながらないと批判した。域内産要件は、欧州の競争力の欠如を補うことはできず、通商政策上の対立を引き起こし、輸出志向のドイツ経済やドイツ自動車産業に悪影響を及ぼす可能性もあると指摘。さらに、域内産要件は企業の生産コストを増加させ、競争力を低下させる可能性があると懸念を示した。
ドイツ鉄鋼連盟
は同日、鉄鋼が戦略的セクターに指定されたことは歓迎するが、コンクリート・モルタルやアルミニウムは「域内産」および「低炭素」要件が設定されているのに対し、鉄鋼は「低炭素」要件のみとなっている点を批判。原案のままでは低炭素の輸入鉄鋼も認められることとなり、産業競争力が安全保障上必要不可欠となっている時代において、まさに逆効果であると、苦言を呈した。
(中山裕貴)
(ドイツ、EU)
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