欧州委、過剰生産への対応を主眼に、輸入動向監視システムを見直し

(EU、中国)

ブリュッセル発

2026年07月21日

欧州委員会は715日、20256月に導入した輸入動向監視システム(2025年6月16日記事参照)を見直し、価格低下を伴う継続的な輸入増加に焦点をあてた「輸入バロメーター外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を立ち上げたと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。これまで監視強化の目的だった第三国・地域の関税措置に伴う貿易転換への懸念が和らぐ一方、産業界では、特に国家主導型の産業政策・支援措置に起因する過剰生産に伴う輸入増加やEU域内生産への影響に対する懸念が高まっている。このため、欧州委は輸入増加の規模や特性に関する関係者の理解の深化、さらに域内市場と産業基盤、およびEUの経済安全保障・繁栄の擁護を目的に、既存のツールを再構成する。

具体的には、欧州委は、EU統計局(ユーロスタット)のデータに基づき自動更新されるダッシュボードを活用し、長期間にわたって輸入量の増加と価格下落が継続している品目のリストを四半期ごとに公表する。ダッシュボードで、輸入品の中で(1)域内でも生産、(2)過去2年間の輸入量の増加率が全輸入品目の平均を超過、(3)直近の1年間で輸入価格が低下、という3条件に当てはまる製品を特定し、輸入増加の要因となっている輸出国や、最も深刻な影響を受けている域内産業部門を把握する。

また、産業界に対し、引き続き独自の市場分析やデータの提供を呼びかけた。輸入バロメーターと産業界からの情報を総合することで、影響を受けている製品・産業部門を特定し、必要に応じて、時機を逸することなく、的を絞った適切な措置を講じることが可能になると述べた。

世界的な過剰生産に危機感、通商貿易措置の積極活用を示唆

欧州委はまた、既存の反補助金およびアンチダンピング(AD)調査に関するガイドを補完するものとして、欧州委への申し立てに必要な事項や、調査開始後の手順をまとめたセーフガード措置の活用に関するガイド外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

通商防衛措置に関し、EUでは、世界的な過剰生産によるEU産業の競争力低下への危機感の高まりから、加盟国と産業界双方で、既存の措置を強化する必要性が指摘されている(2026年6月8日記事2026年6月25日記事参照)。現地報道によると、欧州委は、特に問題視する中国との貿易不均衡の是正に向け、必要に応じ今後数カ月間、通商貿易措置を積極的に活用する方針を示した。こうした動きの一環として、欧州委は78日、中国製の乗用車と小型トラック用のタイヤに対するAD関税措置を発動した(2026716日記事参照)。

(滝澤祥子)

(EU、中国)

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