欧州産業界、EUの通商防衛措置で提言、スピードやバリューチェーン全体への適用を要請
(EU)
ブリュッセル発
2026年06月08日
ヨーロピアン・アルミニウム、欧州化学工業連盟(Cefic)や欧州自動車部品工業会(CLEPA)など欧州の23産業団体は5月27日、より効果的かつ積極的な通商防衛措置の適用をEUに要請する共同声明
を発表した。
23団体は、非市場経済国による不公正な取引慣行や構造的な過剰生産・供給がEU産業の競争環境をゆがめ、競争力低下の一因となっていると指摘し、産業界はEUによる「保護」ではなく、「公正な競争条件の確保」を求めていると強調した。また、国際貿易秩序の変化を踏まえ、EUがWTOルールの見直しの主導的役割を果たすことへの期待を示すとともに、通商防衛措置をより効果的かつ迅速に適用する必要があると述べた。
声明は、現行の通商防衛措置の課題を複数挙げた。まず、「スピード感」だ。措置発動を視野に入れた調査開始までに数カ月を要するケースや、調査期間自体も長い。この間も不公正な取引慣行は継続し、特にグローバルで競争が激しい産業部門は生産拠点の閉鎖や人員削減など不可逆的な事態に陥るリスクがある。そこで、欧州委員会が既存法を最大限活用し、より迅速に調査を行う必要があるとした。迂回輸出への対応強化や、ダンピングマージンおよびアンチダンピング(AD)関税算定への環境・社会コストを反映する必要性も指摘した。加えて、外国の垂直統合型モデルを採用する企業(特に国有企業)は、外国政府の大規模な補助金を受け、バリューチェーンの各セグメントで大量生産を行うため、単一製品に措置を発動しても、バリューチェーン内の他のセグメントで不公正な競争が起きるようになる。このため、バリューチェーン全体を対象とするアプローチを採用し、必要であれば欧州委の職権で調査を迅速に開始すべきとした。
このほか、(1)調査を担当する欧州委の人員拡充、(2)国家主導の市場歪曲(わいきょく)やその波及に対応する新たな措置の検討、(3)外国補助金規則(2026年1月15日記事参照)のより戦略的な適用も要請した。
このうち、(2)に関し、非市場経済国が第三国での生産拠点設立に対する投資を拡大した結果、第三国経由でEU市場に流入する不当に低価格な製品が急増している。EUは、あらゆる市場歪曲に対応する、WTOルールに適合した手段の導入を検討すべきとした。(3)について、現行規則では、欧州委は個別案件ベースの調査にとどまっている点を踏まえ、関連産業やバリューチェーン全体での非市場的行動パターンを分析可能とする、より戦略的な運用を検討すべきと提言した。
(滝澤祥子)
(EU)
ビジネス短信 45df4386965504fe





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