EU、中国製タイヤにAD関税措置を発動、タイヤ業界は域内生産の強化を提言
(EU、中国)
ブリュッセル発
2026年07月16日
欧州委員会は7月9日、中国製の乗用車および小型トラック用のタイヤに対するアンチダンピング(AD)関税措置の発動を発表した(プレスリリース
)。7月7日付のEU官報に掲載された実施規則
が翌8日に発効したことを受け、対象製品には2031年7月8日までの5年間、4.3~45.3%のAD税が課される。
実施規則によると、欧州委は2025年5月、業界団体の申し立てに基づき調査を開始した。調査の結果、中国製タイヤのEU向け輸出量は2021~2024年の間、62%増加し、市場シェアは18%から28%に拡大したことが判明した。一方、輸入価格の上昇率は12%にとどまり、他の輸出国の平均(26%)やEU製品(15%)を下回った。欧州委は、中国製タイヤの輸入価格がEU域内の平均製造価格を下回ったことで価格抑制圧力が生じ、域内生産者は製造コスト上昇分を価格転嫁できず、生産量・販売数ともに減少し、実質的な損害を被ったと認定した。
高まる中国依存、IAAによる域内製品への需要喚起を訴える
欧州委は3月に産業加速法案(IAA、2026年3月13日記事参照)を発表し、エネルギー集約型産業の基盤強化策や域内産車の優遇策(2026年7月8日付地域・分析レポート参照)などを示した。同法案の影響評価
では、自動車部品の中でも特にタイヤの中国依存が高まっていると指摘した。またEU域内の生産コストは輸入品を上回るペースで上昇しており、競争力が低下したとしている。
欧州タイヤ製造協会(タイヤ・ヨーロッパ)は7月1日に発表したIAAに関する提言書
で、タイヤ製造が戦略的エネルギー集約型産業として位置付けられたことを歓迎し、低炭素・高性能タイヤの域内生産の強化に向け提言をした。主な提言は次のとおり。
- 公共調達・公的支援の要件に関し、新車装着用タイヤに域内原産要件を導入するとともに、交換用タイヤも低炭素・域内産製品の対象に追加し、域内産タイヤへの需要を喚起する。
- 「域内産」と同等に認定する国は、EUと自由貿易協定(FTA)などを締結、かつWTOの政府調達協定または同等の枠組みに参加していることを要件とする。
- 産業界との協議を踏まえ、タイヤのエネルギー効率や環境性能を乗用車および小型商用車(バン)の公共調達・公的支援の要件に反映するなど、道路輸送の脱炭素化への貢献を評価する仕組みを導入する。
- 産業製造加速地域に関し、新規案件に加え既存施設での投資案件も含め、許認可を迅速化する。また、EUレベルでの監査・調整体制を整備する。
(滝澤祥子)
(EU、中国)
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