米国務省、資源の戦略地政学的関与に関するフォーラム(FORGE)の議長国就任を発表
(米国)
ニューヨーク発
2026年07月14日
米国国務省は7月10日、「資源の戦略地政学的関与に関するフォーラム(FORGE)」の議長国を、韓国から引き継ぐと発表
した。同省は、「米国経済を牽引し、安全保障の基盤となる重要鉱物プロジェクトを加速させることで、米国の国家安全保障および経済安全保障を守る取り組みを主導していく」としている。
マルコ・ルビオ国務長官は、2月に開催した重要鉱物閣僚会合にて、鉱物資源安全保障パートナーシップ(MSP、注1)の後継としてFORGEの創設を発表していた(2026年2月5日記事参照)。FORGEは、強靭(きょうじん)な重要鉱物サプライチェーンの構築に向けて協力する、志を同じくする国・地域による連合体で、次の4つに対処することを目的としている。
- 重要鉱物サプライチェーンを多様化・確保するための措置の調整
- 重要鉱物の特定国への依存低減を目指す戦略的プロジェクトへの投資促進を通じたリスク軽減
- 採掘、加工、リサイクルにおける高水準の基準確立の支援と、重要鉱物セクターにおける透明性およびトレーサビリティーの向上
- 米国内および同盟国における重要鉱物のリサイクルおよび再処理能力の拡大
これらの点に対処するため、FORGEでは次の2つのワーキンググループを設置している。
- プロジェクト投資ワーキンググループ:重要鉱物の採掘、加工、リサイクルにおける戦略的投資機会の特定と評価を行う。共同投資や協調融資を促進するため、プロジェクトに関する共有登録簿を保持するとともに、加盟国の開発金融機関(DFI)、輸出信用機関(ECA)、民間セクターと連携する。
- 政策調整ワーキンググループ:サプライチェーンの多様化を加速するための国際的な取り組み、政策手段、戦略的メッセージの調整を行う。そのほか、サプライチェーンの混乱に関する情報共有も行う。
米国は重要鉱物のサプライチェーンを中国に依存しているため、トランプ政権では供給源を多様化するための取り組みを複数の省庁で進めている(注2)。これら一連の取り組みの中で注目されるのが、重要鉱物に対する最低価格の設定だ。重要鉱物の中国への依存が続く背景には、精錬工程をはじめとするサプライチェーンが同国に集中していることに加え、価格の安さがある。一方、米国などで重要鉱物を生産する場合、環境規制への対応や労働コストの高さなどから、生産コストが上昇しやすい。このため、非市場的政策による価格のゆがみを是正し、不当に低価格となる取引を防ぐため、厳格な基準を満たした重要鉱物に対して適正な「最低価格」を設定する仕組みが検討されている。ただし、この仕組みを機能させるには、高価格であっても安定的に取引が行われる市場の形成が不可欠だ。今後は、米国がFORGEをはじめとする同盟国との協力枠組みを通じて、重要鉱物の最低価格を実現できるかが焦点となる。
(注1)2022年6月に創設された重要鉱物サプライチェーン強靭化に向けた協力枠組み。米国、韓国、日本を含む15カ国・地域が参加し、重要鉱物の採掘・採鉱、加工、回収・リサイクルに関するプロジェクトに取り組んだ(2024年7月1日記事参照)。
(注2)米国輸出入銀行(EXIM)は2月に、最大100億ドルを直接融資し、重要鉱物の戦略的備蓄を行う「プロジェクトボールド」を発表した。同月に国務省が主催した重要鉱物閣僚会合では、J.D.バンス副大統領が「重要鉱物特恵貿易圏」の創設を提案した。同省は6月に、有志国間で重要鉱物の強靭なサプライチェーンの構築を目的とする「パックス・シリカ」の第2回サミットを開催した(2026年6月30日記事参照)。また米国通商代表部(USTR)は、重要鉱物に関する複数国間協定を締結するためのパブリックコメントを募集した(2026年3月2日記事参照)。
(赤平大寿)
(米国)
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