6月の米雇用統計、新規雇用者数は市場予想を下回る

(米国)

ニューヨーク発

2026年07月14日

米国労働省(BLS)は7月2日、6月の雇用統計を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。非農業部門の新規雇用者数は前月と比べて5万7,000人増加した。セントルイス連邦銀行が試算する外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます新規雇用者数のブレーク・イーブン・ポイント(注1)である1万5,000~8万7,000人の範囲内に収まる結果となったが、ダウジョーンズによる市場予想(11万5,000人増)を大幅に下回った(「CNBC」、7月2日)。ここ数カ月、非農業部門の新規雇用者数は堅調な伸びを維持していたが(2026年5月11日記事参照)、伸びの鈍化を示す内容となった(注2)。

家計調査(注3)の結果をみると、失業率(4.2%、前月から0.1ポイント低下)は前月からわずかに低下したが、労働参加率の低下が失業率押し下げに寄与したとみられる(添付資料表1、図1参照)。労働参加率は61.5%と前月から0.3ポイント低下し、過去5年で最低の水準となった。また、失業者数は21万3,000人減少した一方、就業者数は前月比50万7,000人減少した。労働市場から退出する人が増えたことで失業率が押し下げられた格好であり、失業率の低下が必ずしも雇用環境の改善を示すものではない点に留意が必要だ。総じてみれば、6月の家計調査は引き続き労働市場の弱さをうかがわせる内容となった。

新規雇用者数の内訳では、前月比で政府部門が8,000人増、民間部門が4万9,000人増だった。民間部門を業種別にみると、教育・医療業(6万9,000人増)、対事業所サービス業(3万6,000人増)、建設業(1万人増)、などが増加を牽引した。一方、娯楽・接客業(6万1,000人減)および情報業(9,000人減)は減少した。娯楽・接客業については、2026FIFAワールドカップ開催に伴う需要拡大が見込まれるとみる報道もあったが、政治情勢や移民政策強化(2026年6月15日記事参照)の影響による観光需要の鈍化が雇用の重荷となっている可能性がある(添付資料表2、図2参照)。

前年同月比でみると、教育・医療業(64万8,000人増)、娯楽・接客業(11万4,000人増)が増加し、政府部門(25万8,000人減)および金融業(10万人減)は減少となった。

賃金に関しても、依然として力強さを欠く状況にある。平均時給は37.64ドルで前月比0.3%増、前年同月比3.5%増(添付資料表1)となったが、上昇率は5月の消費者物価指数(CPI)上昇率(前年同月比4.2%、BLS)を下回っており、実質賃金の改善には至っていない。このため、中間選挙を控える中、アフォーダビリティー(購入しやすい価格かどうか)を巡る懸念は引き続き重要な課題となっている。

今回の雇用・賃金関連指標は総じて力強さを欠く内容であったものの、景気や労働市場の急激な悪化を示すほどではなく、政策対応を迫るような内容ではなかった。連邦準備制度理事会(FRB)は6月の連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で、当面、インフレ抑制を優先する姿勢を維持すると述べている(2026年6月18日記事参照)。

(注1)失業率が上昇しないために必要と考えられる新規雇用者数を指す。バイデン前政権下の緩和的な移民政策のもとで外国人労働力が大きく増加した2023年のブレーク・イーブン・ポイントは約16万人だったが、第2次トランプ政権下では外国人労働力を中心に労働供給が大幅に減少した結果、数値は大きく低下している。

(注2)4月の非農業部門の新規雇用者数は、17万9,000人増から14万8,000人増へ3万1,000人下方修正され、5月の数値も17万2,000人増から12万9,000人増へ4万3,000人下方修正されている。
(注3)雇用統計は失業率などを含む家計調査と、非農業部門新規雇用者数や平均賃金などを含む事業所調査の2種類の統計から成り立っている。

(大垣ジャスミン)

(米国)

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