米FRBは4会合連続で政策金利を据え置き、フォワードガイダンスは示されず
(米国)
調査部米州課
2026年06月18日
米国連邦準備制度理事会(FRB)は6月16~17日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開催した。市場の予想どおり、政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を3.50~3.75%に維持することが全会一致で可決され
、4会合連続での金利据え置きとなった(添付資料図参照)。今回のFOMCは、ケビン・ウォーシュ氏のFRB議長就任後の初開催となる。
ウォーシュ議長は就任前、利下げを要求するドナルド・トランプ大統領に対し歩調を合わせるような姿勢を示していた。中東紛争を受けエネルギー価格が高騰し、5月の米国の消費者物価指数(CPI)は3年ぶりに4.0%超える高水準となった。こうした経済環境を背景に、インフレ抑制のため利上げの可能性を意識する市場と景気刺激のため利下げを求めるトランプ大統領との間で、ウォーシュ議長の決断に大きな注目が集まっていた。
今回は、四半期に1度のFOMC参加者の経済見通しも合わせて公表された(添付資料表参照)。参加者の予測中央値でみると、実質GDP成長率は2026年が2.2%(前回2.4%)と下方修正されたが、2027年が2.3%(前回2.3%)、2028年が2.2%(前回2.1%)、長期が2.0%(前回2.0%)と持ち直していく見通しが示された。失業率については前回とほとんど変更がないが、物価(インフレ率)については、2026年は個人消費支出(PCE、3.6%、前回2.7%)、コアPCE(3.3%、前回2.7%)と、前回からさらに上方修正された。政策金利は、2026年は3.8%(前回3.4%)となり、年1回程度の利上げの可能性が示唆されたかたちになった。
FOMC後に発表された声明文では、現状の経済情勢について、「中東紛争に一部起因する不確実性の高まりにも関わらず、経済活動は堅調なペースで拡大している。生産性の伸びと設備投資はともに好調だ。雇用者数の増加は労働力人口の増加ペースに追いついており、失業率はほとんど変化していない」との見通しを提示しつつも、「物価の高止まりは米国民にとって大きな負担となっている。FOMCのメンバーは全会一致で物価安定を目指す」とした。
一方、フォワードガイダンス(金融政策運営の方向性についてのコミュニケーション)は、現在の政策状況に適していないとし、記載しない方針が明らかになった。また、ウォーシュ議長は自らの経済予測についても発表を控えるとしつつも、金利政策を実行する上で重要となる5つの分野(注)においてタスクフォースを設置することを表明した。
主要7カ国首脳会議(G7サミット)に参加していたトランプ大統領は、今回の政策金利据え置きについて、「問題ない」と述べるなど、容認する姿勢を見せている。
(注)(1)FRBのコミュニケーションの形式と機能の改善、(2)FRBのバランスシート政策の見直し、(3)既存のデータ収集方法の改善、(4)変革の時代における生産性と雇用の検証、(5)FRBのインフレ枠組みの見直し。
(安東利華)
(米国)
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