パキスタン、インフレ傾向は鈍化するも高水準続く
(パキスタン)
カラチ発
2026年07月08日
パキスタン計画・開発省統計局(PBS)は7月1日、6月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)が、前年同月比11.1%になったと発表した(添付資料図参照)。5月の11.7%から0.6ポイント低下し、2026年1月から5月まで連続していた上昇傾向(2026年6月5日記事参照)はいったん鈍化した。一方で、インフレ率は前年同月の3.2%を大きく上回る水準で推移しており、国内の物価上昇圧力は依然として強い状況が続いている。
品目別にみると、住宅・電力・ガス関連が前年同月比15.5%上昇したほか、輸送費は25.7%上昇し、全体のインフレ率を押し上げた。食料品も9.4%上昇しており、都市部では小麦(64.7%増)や小麦粉(55.3%増)、タマネギ(60.1%増)などを中心に高い伸びがみられた。一方、ジャガイモや鶏卵など一部食品は前年同月を下回る水準となっており、品目で価格動向にばらつきがみられる。
2025/2026年度(2025年7月~2026年6月)の平均インフレ率は7.1%となり、前年度の4.5%を上回った。2024年後半から2025年前半のインフレ沈静化の流れは、2026年春以降に再び反転しつつある。この状況下、パキスタン中央銀行(SBP)は6月、政策金利を11.5%に据え置いた。SBPは今後の物価動向や外部環境を慎重に見極める姿勢を維持しており、当面インフレ抑制と景気回復のパランスを重視した金融運営が続くとみられる(2026年6月18日記事参照)。
今後のインフレ見通しを左右する主たる外部要因は、引き続き中東情勢だ。イランを巡る地域情勢は、停戦・調整協議の進展(2026年6月23日記事参照)により短期的な緊張緩和の動きがみられるが、依然として不安定要素を抱えている。ホルムズ海峡の船舶往来はおおむね正常化に向かい、海上保険料や運賃の急騰傾向は和らいできたものの、なお地政学的リスクは残る。
原油価格が再び上昇すると、エネルギー輸入依存度の高いパキスタンでは、インフレ圧力が再び強まる可能性がある。ユーティリティーやエネルギーコストの高止まりに加え、インフレ率が2桁台で推移しており、多くの企業はコスト管理と価格転嫁の両面で難しい事業運営が続いている。
(糸長真知)
(パキスタン)
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