日・ブラジル首脳、日・メルコスール経済連携協定の交渉開始で合意
(ブラジル、日本、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、メルコスール)
調査部米州課
2026年06月17日
ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は6月16日、G7エビアン・サミットが開催されているフランスで高市早苗首相と首脳会談を行い、日・メルコスール経済連携協定(EPA)の交渉開始で合意した。日本の外務省
が発表した。
6月16日付現地紙「フォーリャ・デ・サンパウロ」は、EUメルコスール自由貿易協定(FTA)の暫定貿易協定(iTA)が5月1日に暫定適用開始(2026年5月12日記事参照)された直後の合意であることを受け、「ブラジルは、EUに加えて日本を含むアジア諸国との貿易を加速させる」、その上で「ブラジルを含むメルコスール諸国は、食料、資源、エネルギーの輸出拡大を狙う」と報じた。
メルコスールは、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイの4カ国で構成される関税同盟(注1)。中南米域外では、対イスラエル、対エジプトとのFTAが発効している(注2)。その他、2023年12月にメルコスール・シンガポールFTA(MCSFTA)に署名、2025年9月には欧州自由貿易連合(EFTA)とのFTAに署名した(注3)。MCSFTAは、2026年2月にパラグアイで、3月にウルグアイで発効している(2026年3月6日記事参照)。
近年、メルコスールはFTA網の拡大を図っている。2025年以降は、新型コロナ感染拡大などによって交渉が停滞していたカナダ、韓国、インドネシアとのFTA協議を再開する旨で合意した。輸出相手国や供給元の多角化を図る狙いがあるとみられる。日本と、メルコスール(4カ国)のGDPの7割以上を占めるブラジルとの貿易割合は小さく、今後拡大の余地がある。ブラジルの日本向け輸出割合は輸出額全体のわずか1.6%(54億8,900万ドル)。日本からの輸入割合も、輸入額全体の2.2%(60億5,100万ドル)にとどまる(注4)。
ブラジルは、重要鉱物の1つであるニオブの世界最大の生産国。ニオブは、高級鋼材の生産に不可欠なレアメタル(希少金属)で、ブラジルは世界の生産量の9割以上を占めている。また、原油の生産量(2025年)は、日量465万5,000バレル。生産量は拡大傾向にある(注5)。なお、2025年8月には、英国の石油大手BPが、リオデジャネイロ州沖約400キロメートルに位置するサントス海盆のブメランギ鉱区の深海部、プレソルトと呼ばれる岩塩層下で、広さ300平方キロメートル超にのぼる石油・天然ガス田を発見している(2025年8月8日記事参照)。
(注1)2024年8月にボリビアが正式加盟のステータスを得ているが、今後、最長4年間の猶予期間を経て、対外共通関税などメルコスールの現行規定を国内法規に適用させることで、実質的な加盟国になる。
(注2)メルコスール・イスラエルFTAは、ウルグアイで2009年、ブラジルとパラグアイで2010年、アルゼンチンで2011年に発効している。メルコスール・エジプトFTAは2017年に発効した。
(注3)EFTAの加盟国は、リヒテンシュタイン、アイスランド、ノルウェー、スイスの4カ国。
(注4)いずれも2025年のデータ。出所は、開発商工サービス省。
(注5)2021年の生産量は日量369万バレル、2022年は318万バレル、2023年は428万2,000バレル、2024年は427万7,000バレル。出所は、米国エネルギー情報局(EIA)。
(辻本希世)
(ブラジル、日本、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、メルコスール)
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