エブラル経済相、7月のUSMCA見直し合意は確約できないと発言
(メキシコ、米国、カナダ)
メキシコ発
2026年06月16日
クラウディア・シェインバウム大統領は6月15日の早朝記者会見で、同日から始まる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)見直しの米国との第2回事前協議に関するメキシコ政府の方針を語った。USMCAの見直しにおいて、どのような合意が成功と言えるのかという記者からの問いに対して、「第1に協定の維持だ」と答えた。また、「米国は原産地規則の強化を望んでいる」とし、「米国内での製造を強く求めている」と述べた。メキシコ政府としては、米国だけでなく、3カ国全体での製造強化を望むとし、「それが自由貿易協定の意義だ」と強調した。さらに、現在メキシコにも課されている1962年通商拡大法232条(以下「232条」)に基づく鉄鋼・アルミニウム・自動車などに対する追加関税について、「少なくともこれらの関税が大幅に引き下げられ、USMCAが継続されるよう(交渉に)取り組んでいる」と述べた。なお、ドナルド・トランプ米国大統領との電話会談については、「必要であれば行う」との言及にとどめた。
マルセロ・エブラル経済相は6月15日の経済省記者会見に、同事前協議に参加のためワシントンから電話で参加した。6月15日から4日間、米国とのUSMCAの見直しに関する交渉を行い、6月18日にジェミソン・グリア米国通商代表部(USTR)代表と会談することを発表した。
エブラル経済相は、共同見直しについて定めたUSMCA第34条7項(注1)に関して「メキシコは期限と手続きを順守している」とし、米国に対して「あらゆる見解を提示している」と主張した。その中で「232条に基づく関税の賦課は協定に反し、米国にもメキシコにも利益をもたらさない」と強調した。今回の協議において、共通のビジョンとして「北米で生産を拡大しなければならない」という点では合意しているとし、この目標をどのように達成するかを議論すると述べた。具体的には、13の項目(注2)と鉄鋼・アルミニウム、農業、労働、環境、原産地規則、自動車産業のテーマについて議論すると説明した。さらに、次の会合は7月1日に定められており、7月20日も会合を行う予定だとした。
エブラル経済相は、USMCA見直しの交渉に関して、「現時点では順調に進んでおり、協定が成立するよう取り組んでいる」と述べたが、「(交渉は)容易ではなく、簡単なものではない」とし、「協定の見直しには困難が伴う可能性がある」とも指摘した。また、7月1日の協議にカナダが参加するか問われると、USMCA第34条7項を引き合いに出し、「参加国は3カ国である必要がある」とし、「それが私の予想だ」と述べたが、断言を避けた。さらに、USMCA見直し合意に関して、「7月であれば理想的だが、まだ多くの課題が残っているため、(7月20日までに)確実に終了できるとは現時点では確約できない」と7月の合意形成に消極的な姿勢を見せた。
(注1)USMCAは協定発効16年目(2036年7月)に失効する。ただし、協定発効6年目に協定の見直しを実施し、3カ国が延長に合意した場合、16年後(2042年7月)まで延長される。各締約国は見直しに際し「提案」を出すことができ、その場合3カ国会合が開始される日の1カ月前までに提出しなければならない。3カ国のいずれかが延長に同意しない場合には、以降、見直しを毎年実施することが規定され、延長を検討することになっている。
(注2)エブラル経済相が4月23日の早朝記者会見で、「米国の外国貿易障壁報告書2026(NTE)を公表したが、54項目には含まれていなかった13の新しい項目がある」とコメントしたが、13の項目が具体的に何を示しているかは不明である。NTEのメキシコに関する主要な論点については、2026年5月29日付地域・分析レポート、2026年5月29日付地域・分析レポート、2026年5月29日付地域・分析レポートを参照。
(阿部眞弘)
(メキシコ、米国、カナダ)
ビジネス短信 eb4e9c1933d5d331





閉じる