米企業、中国市場を依然重視も、国外移転を計画する割合が増加、米中ビジネス評議会調査
(米国、中国)
ニューヨーク発
2026年06月15日
米中ビジネス評議会(USCBC)は6月10日、対中ビジネスに関する2026年の会員企業向け調査結果を発表
した。調査結果からは、米国企業に中国市場の重要性が依然として高く認識される一方、米中対立に伴う対中ビジネスリスクへの懸念が高まる実態が読み取れる。
調査結果
(注1)によると、自社のグローバルな競争力維持の観点から、中国事業が重要だと回答した割合が95%に達した(注2)。報告書ではこの結果について、中国市場の市場規模のみならず、「中国のエコシステムが持つスピードや効率性を、自社の専門知識や技術と組み合わせることが、企業の競争力の維持につながっているため」と分析している。
米国企業が中国を重視する一方で、米中対立に起因するリスクもあらわになった。両国による関税措置の影響を受けていると回答した企業は72%で、2025年調査結果より4ポイント増加した。関税への対策では、「自社で吸収した」と回答した割合が53%(前年比27ポイント増)、「川下の顧客に価格転嫁した」が42%(同11ポイント増)、「サプライヤーと価格転嫁を交渉した」が42%(同8ポイント増)だった。こうした結果を踏まえ、報告書では、「対中貿易赤字は縮小したかもしれないが、米国の製造業を活性化させるには至っていない」と指摘した。また、「中国から少なくとも一部の事業を移転した、あるいは移転を計画している」と回答した割合は29%となり、過去最高を記録した。第1次トランプ政権が発足した2017年以降、中国外への移転を検討している割合は上昇傾向にある。
米国の輸出管理や制裁による影響を受けたと回答した割合は46%だった。影響を受けている割合は年々増加していることから、報告書では「輸出規制の影響が半導体業界を超えて広がっていることがうかがえる」と分析した。中国による輸出管理の影響を受けている割合は36%だった。業種別では、自動車・物流企業が最大だった。「中国外から重要鉱物や希土類(レアアース)を調達する取り組みを行っているか」との問いに対しては、「積極的に行っている」と回答した割合が29%、「行っているが代替先が見つかっていない」が47%だった。米国の先端半導体に対する輸出管理、中国のレアアースに対する輸出管理は、両国の経済関係の争点の1つになっている(2025年12月9日付地域・分析レポート参照)。
報告書ではこれらの結果に基づき、米国企業にとって当面の最優先課題として、「実質的かつ持続的な関税引き下げの実現」だとし、その次に「米・中双方による輸出管理の緩和」だと提言している。なお、5月に行われた米中首脳会談を経て(2026年5月19日記事参照)、両国は、経済安全保障上、機微でない分野において、双方の追加関税率の引き下げ対象となる品目を特定するため、「米中貿易委員会」の設置で合意している(2026年6月4日記事参照)。
(注1)調査は2026年2~3月に実施、回答企業数は175社。USCBCの会員は、中国とビジネスを行う約270社の米国企業。
(注2)「とても重要」「重要」「いくぶん重要」と回答した割合の合計。
(赤平大寿)
(米国、中国)
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