米連邦通信委、相互承認協定未締結国・地域の認証機関における無線機器の承認禁止を提案

(米国、中国)

ニューヨーク発

2026年06月19日

米国連邦通信委員会(FCC)は6月15日、米国と相互承認協定を締結していない外国に所在する電子機器試験所や認証機関を、米国向け無線通信機器の認証取得プロセスから除外する規則案について、パブリックコメントの募集を締め切った。同規則案は4月30日に発表、5月15日付で官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載されていた。なお、パブリックコメントへの意見は7月14日まで提出可能だ(注1)。

米国向けに無線通信機器を輸出・販売する場合、原則としてFCCの認証取得が必要だ(注2)。機器メーカーはFCC認定の試験所で機器の試験を行い、そのデータをFCC認定の電気通信認証機関(TCB、注3)に提出する必要がある。TCBは提出されたデータに基づき審査し、認証の可否を判断する。

今回の提案は、米国が相互承認協定(MRA、注4)などを締結していない国・地域に所在する試験所やTCBに対し、FCCが新たな認定を与えることを禁止するものとなる。提案内容が最終規則として採択された場合、これらの試験所やTCBはFCC認証取得の審査プロセスから段階的に除外される。なお、日本は2007年に米国とMRAを締結しており、日本国内で米国向けの認証実施が認められている。このため、日本に所在する試験所は本提案の対象外とみられる。2026年6月18日時点で、日本国内にFCCから認定を受けたTCBは存在しない。

パブリックコメントは、特に中国に所在する試験所から多く提出されており、機器メーカーが認証取得に要する費用や期間が増加する可能性や、中国の試験・認証業界の縮小への懸念が指摘された。FCCによると、認証を取得した機器の75%は中国の試験所で試験され、TCBへ提出するためのデータが取得されている。

安全保障上のリスクを理由にFCCの認証に制限を加える措置は、バイデン前政権下から進められてきた。FCCは2022年11月、米国の安全保障上の脅威となり得るとして、中国企業5社の通信機器の米国への輸入・販売認証を禁止する行政命令を発表し(2022年11月28日記事参照)、その後は禁止対象企業を拡大した。2025年8月には、禁止対象事業体(注5)の所有、支配、または指示下にあるTCBや試験所に対し、新たな認定の付与を禁止する行政命令を発表し、今回の提案に先立って認証プロセスからの除外を定めた。FCCはこの除外を定めた官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、中国やイランなどの外国の敵対的主体(foreign adversaries、注6)や信頼できない主体に支配された試験所やTCBによる認証は、国家安全保障上のリスクになり得るとし、信頼性確保のために措置を導入したと説明していた(注7)。2025年12月にはドローンなど無人航空機システム(UAS)とその重要部品を、2026年3月には消費者向けルーターを、それぞれ条件付き(注8)でFCC認証の取得禁止対象とした(2026年3月30日記事参照)。

(注1)意見はFCCの電子システム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどから提出可能。電子システム上で提出する場合は、Proceeding(s)欄にドケット番号「24-136」を入力する必要がある。

(注2)米国向け無線通信機器の輸出に関する規則については、ジェトロのウェブサイトを参照。

(注3)機器認証プロセスの迅速化を図るため、FCCが認定する民間の第三者指定認証発行機関。なお、試験所やTCBは、少なくとも2年ごとにFCCからの認定更新を受ける必要がある。

(注4)米国がMRAを締結している国・地域については、FCCのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注5)FCCの「国家安全保障と米国人の安全に容認できない脅威をもたらし得る対象機器・サービス」リストのほか、商務省産業安全保障局(BIS)の「エンティティ・リスト(EL)」や「軍事用エンドユーザー・リスト」、米国国土安全保障省(DHS)の「ウイグル強制労働防止法EL」など。詳細は8月7日付官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注6)本文中の2カ国に加え、キューバ、北朝鮮、ロシア、ベネズエラのニコラス・マドゥーロ氏。中国には香港およびマカオを含む。

(注7)同行政命令により、すでに23の試験所の認定が取り消されたと、今回の規則案に関する報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で言及されている。

(注8)戦争省(国防総省)または国土安全保障省が、国家安全保障上のリスクがないと判断し「条件付き承認(Conditional Approval)」を与えた製品などは例外措置の対象となり、FCC認証を受けることが可能。

(滝本慎一郎)

(米国、中国)

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