トランプ米大統領、鉄鋼・アルミ・銅に対する232条関税を修正、農業機械などの関税を時限的に引き下げ

(米国、日本、韓国、台湾、EU、リヒテンシュタイン、スイス、英国、アルゼンチン、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ)

ニューヨーク発

2026年06月04日

米国のドナルド・トランプ大統領は6月1日、1962年通商拡大法232条に基づく、鉄鋼、アルミニウム、銅への追加関税率を変更する大統領布告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同日、ファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも公開した。

トランプ政権は、1期目の2018年3月に232条に基づき、鉄鋼・アルミへの追加関税の賦課を開始し、2期目では関税率を50%に引き上げたほか、対象品目を鉄・アルミの派生品や銅製品にも拡大した。2026年4月には、課税方法を変更したほか、対象品目を一部削減するとともに、関税率を一部品目で15~25%に軽減した(2026年4月3日記事2026年5月20日付地域・分析レポート参照)。

今回の大統領布告による改正は、4月に発表した内容をさらに修正するもの。主な修正内容は次のとおり。

○米国で「全量」が精錬・鋳造などされた製品として取り扱う条件の変更:これまでは、米国で精錬・鋳造されたアルミ、溶解・鋳造された鉄鋼、精錬・鋳造された銅が95%以上を占める派生品は、米国で「全量」が精錬・鋳造などされた製品として取り扱われ、関税率が10%に軽減されていた(2026年4月8日記事参照)。今回の修正により、この水準を85%に引き下げた(注1)。

○コンバインや収穫機などの農業機械の関税率の引き下げ:農業機械などを2026年4月の措置変更の大統領布告の付属書I-B(関税25%の対象品目リスト、注2)から削除し、付属書IIIへ掲載。付属書III掲載品目は、2026年6月8日~2027年12月31日の通関に限り、一般関税率が15%未満の場合は232条関税と合計して15%とし、一般関税率が15%以上の場合は232条関税を課さない(一般関税率のみ課す、注3)。

○一部国・地域で製造されたブルドーザーやフォークリフトなどの建設・運搬機械の追加関税率の引き下げ:建設・運搬機械を付属書I-Bから削除し、新たに設けた付属書I-Cに掲載。付属書I-C掲載品目は、2026年6月8日~2027年12月31日の通関に限り、次の追加関税率を適用する(注4)。

  • 日本を含む11カ国・地域(注5)の品目:一般関税率が15%未満の場合は232条関税と合計して15%とし、一般関税率が15%以上の場合は追加関税を課さない。
  • 米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づき特恵関税待遇の対象となるカナダおよびメキシコ産の品目:米国で生産された価値を差し引いた価値に対して25%の追加関税を課す(注6)。
  • 米国で全量が溶解・鋳造された鉄鋼を使用する品目:一般関税率が10%未満の場合は232条関税と合計して10%とし、一般関税率が10%以上の場合は追加関税を課さない。
  • これらの条件をいずれも満たさない品目:追加関税率25%を維持する。

(注1)英国産品に対する水準は95%以上のまま変更されていない。

(注2)英国で精練・鋳造されたアルミのみの製品および溶解・鋳造された鉄鋼のみの製品に対する関税率は15%、米国で全量が精錬・鋳造されたアルミおよび溶解・鋳造された鉄鋼、精錬・鋳造された銅を使用する派生品に対する関税率は10%。

(注3)米国で全量、精錬・鋳造されたアルミおよび溶解・鋳造された鉄鋼に対する関税率は10%。米国と正常貿易関係(NTR)を有さない国からの輸入に対しては25%を課す。なお、2028年1月1日以降に通関された派生品については、米国で全量が精錬・鋳造などされた製品を除き、関税率を25%に引き上げる。

(注4)2028年1月1日以降に通関された派生品については、付属書I-B掲載品目に同じ取り扱いとなる。

(注5)アルゼンチン、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、日本、韓国、リヒテンシュタイン、スイス、台湾、英国、およびEU。

(注6)なお、この価値の割合が製品全体の価値の15%を下回る場合は、15%の追加関税が課される。また、米国で生産された部品の価値の算出方法については、商務長官がCBPに指針を出すことが布告の中で示されている。

(滝本慎一郎)

(米国、日本、韓国、台湾、EU、リヒテンシュタイン、スイス、英国、アルゼンチン、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ)

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