トランプ米大統領、鉄鋼・アルミ・銅に対する232条関税の修正を発表、含有量に基づく課税を廃止
(米国)
ニューヨーク発
2026年04月03日
米国のドナルド・トランプ大統領は4月2日、1962年通商拡大法232条に基づく、鉄鋼、アルミニウム、銅への追加関税措置の関税率を変更する大統領布告
を発表した。同日、ファクトシート
も公開した。
232条は、特定製品の輸入が米国の国家安全保障に脅威を及ぼすと商務長官が判断した場合に、追加関税などの措置を発動する権限を大統領に認めている。トランプ氏は、政権1期目の2018年3月に232条に基づき、鉄鋼に25%、アルミに10%の追加関税の賦課を開始した。政権2期目では段階的に追加関税率を引き上げ、2025年6月に一律50%とした(2025年6月4日記事参照)。さらに、追加関税の対象品目に派生品も含めた。派生品に関する追加関税は原則として、製品に含まれる鉄鋼やアルミの価額に対してのみ課される。だが、価額の計算方法に関する詳細なガイダンスなどが発表されない状態で追加関税が賦課される不透明な状況が続いており、企業の負担になっていた(2025年12月25日記事参照)。トランプ氏はまた、2025年8月から、232条に基づき、銅製品に対しても、製品に含まれる銅の価額に対して50%の追加関税を課していた(2025年8月4日記事参照)。
今回の大統領布告で定められた主な措置は次のとおり。
〇232条に基づく鉄鋼、アルミ、銅製品への追加関税は、派生品を含めて、金属の含有量に関わらず輸入申告価格全体に課す(米国東部時間2026年4月6日午前0時1分からの通関に適用)。
〇付属書
I-Aに記載している鉄鋼・同派生品、アルミ・同派生品、銅製品への追加関税率を50%とする。ただしこのうち、英国で精練・鋳造されたアルミのみの製品および溶解・鋳造された鉄鋼のみの製品に対する追加関税率は25%とする。また、米国で全量が精錬・鋳造されたアルミおよび溶解・鋳造された鉄鋼、精錬・鋳造された銅を使用する派生品に対しては10%とする(適用開始日時は同上)。
〇付属書I-Bに記載している鉄鋼・アルミ派生品および銅製品への追加関税率を25%とする。ただし、上述の要件を満たす英国製品は15%、米国製品は10%とする(適用開始日時は同上)。
〇付属書IIに掲載している鉄鋼・アルミ派生品は232条追加関税の対象外とする(適用開始日時は同上、注1)。
〇付属書IIIに掲載している鉄鋼・アルミ派生品の追加関税率は、2026年4月6日午前0時1分~2027年12月31日午後11時59分の通関までは、一般関税率が15%未満の場合は232条関税と合計して15%とし、一般関税率が15%以上の場合は追加関税を課さない(一般関税率のみ課す)。ただし、米国で全量、精錬・鋳造されたアルミおよび溶解・鋳造された鉄鋼に対しては10%とする。米国と正常貿易関係(NTR)を有さない国からの輸入に対しては25%を課す(注2)。2028年1月1日午前0時1分以降の輸入に対しては、追加関税率を25%に引き上げる(注3)。
〇附属書I-A、I-B、IIIに規定するロシア産のアルミ製品に対しては、引き続き200%の追加関税を課す。
〇附属書I-A、I-B、IIIに記載する製品で、複数の金属が含まれる場合も、本布告で定めるそれぞれの関税率は重複して課されない(注4)。また、附属書I-B、IIIに記載される鉄鋼・アルミ・銅を一切含有しない場合は232条関税を課さない。さらに、附属書I-B、IIIに規定され、米国関税分類番号(HTSUS)で72、73、74章、76章に分類されず、製品に占める鉄鋼・アルミ・銅の重量が15%未満の場合は232条関税を課さない(附属書IV)。
〇232条追加関税の対象となる鉄鋼・アルミ・銅派生品を拡大するプロセスを廃止する(注5)。ただし、商務長官および米国通商代表部(USTR)代表が、国家安全保障を損なう恐れがあると共同で判断した場合などは、対象品目の追加を可能とする。
(注1)232条の適用対象外の場合、1974年通商法122条に基づく10%の輸入課徴金の対象になると考えられる(2026年2月24日記事参照)。
(注2)米国の関税体系は、恒久的正常貿易関係(PNTR)のステータスを与えられた国などに対する特恵税率が適用される関税率(コラム1)と、それ以外の国向けの関税率(コラム2)に分かれている。コラム2には、ベラルーシ、キューバ、北朝鮮、ロシアが該当する。
(注3)ただし、上述の要件を満たす米国製品は10%のまま。付属書IIIには産業機器や電力網関連機器が含まれており、ファクトシートでは、大規模な産業基盤構築を加速させるために時限的に低い関税率を適用すると説明している。
(注4)関税率を重複して課さない場合、どの関税率が優先されるかは不透明。今後、米国税関・国境警備局(CBP)によるガイダンスなどで明らかになるとみられる。
(注5)鉄鋼・アルミに対する追加申請受付は、これまで2回行われており、初回のみ審査結果が発表されていた(2025年8月19日記事参照)。3回目は、1月1日から受付が開始される予定だったが、開始の発表はなかった。なお、自動車部品に対する拡大プロセス(2026年3月25日記事参照)は廃止の対象となっていない。
(赤平大寿)
(米国)
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