米FDA、国家優先バウチャーに関する公聴会を開催

(米国)

ニューヨーク発

2026年06月12日

米国食品医薬品局(FDA)は6月4日、「国家優先バウチャー(CNPV)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」パイロットプログラムに関する公聴会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開催した。CNPVプログラムは、公衆衛生、革新的治療、未充足の医療ニーズ、国内生産への回帰、手頃な価格といった米国の国家保健における優先事項に沿った医薬品申請を迅速化するためのパイロットプログラムだ。2025年6月に発表され、約1年が経過している。本公聴会では、参加資格基準や選定プロセスなど、プログラム運営に関する意見や見解を募った。

公聴会では、製薬企業、患者団体、医師、公衆衛生の専門家らが証言した。その中で、既にCNPVを取得した、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、メルク、パートナー・セラピューティクスの3社は同プログラムの支持を表明した。

J&Jの多発性骨髄腫治療薬は、2025年12月にFDAよりCNPVプログラムに指名された(注1)。同社は、本プログラムを通じて、迅速な対応、運用上の柔軟性、承認後レビューなどにおいて、多大な協力を得られたと述べた。その上で、問い合わせ先やスケジュール、ならびに審査のマイルストーンを明確化することで、プログラムの改善につながると提案した。

メルクは2件のCNPVを付与され、同プログラムの経験について、「パイロットプログラムでの成功は、審査チームとの早期かつ体系的な科学的連携によってもたらされた。これにより、特に化学・製造・品質管理(CMC)分野(注2)において、規制上の厳格性を確保しつつ、戦略やデータ要件に関する早期の合意形成が可能となった」と述べた。

米国研究製薬工業協会(PhRMA)は、本プログラムは譲渡不可のため「バウチャー」という名称を見直すことや、適格基準、FDAの既存の迅速化プロセスとの違い、申請可能な製品の範囲の明確化などを提案した。

患者団体は、CNPVプログラムへ患者の声を反映し、治療に画期的な効果をもたらす医薬品に対してCNPVを付与するよう主張した。

一方で、医師や公衆衛生分野の研究者は本プログラムに反対した。公益科学センター(CSPI)のピーター・ルーリー会長は、CNPVの選定・審査の政治的利用、FDAのリソースの逼迫(2026年5月18日記事参照)、透明性の欠如といった懸念を挙げた。本プログラムを通じてこれまでにCNPVを付与された22件のうち、10件が薬価に関してホワイトハウスと合意を結んだ企業によって販売されている点を強調した(2026年4月28日記事2025年12月23日記事参照)。また、医師団体「ドクターズ・フォー・アメリカ」のジャネット・クロムズ氏も、「基準の曖昧さと透明性の欠如は、CNPVの付与される企業を決定する上で、政治的影響力に関わっているとの憶測を生んでいる。これは患者の治療にとって極めて有害だ。議論は、偏った見方を除いた上で、個々の患者に対する薬剤の適合性を中心に行われなければならない」と審査の透明性向上が課題だと指摘した。

FDAはパブリックコメント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを6月29日まで受け付けている。

(注1)CNPVの対象の選定方法については、企業による申請、またはFDAによる指名という2つの方法でCNPVの対象となり得る。

(注2)、医薬品の製造方法の確立と品質・安全性の確保を担い、研究段階の候補物質を実用化へとつなぐ創薬開発の中核となる分野。

(大垣ジャスミン)

(米国)

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