米FDA長官が辞任、トランプ政権2期目でも政府高官の離職続く
(米国)
ニューヨーク発
2026年05月18日
米国食品医薬品局(FDA)のマーティン・マカリー長官が5月12日に辞任した。ドナルド・トランプ大統領のSNSへの投稿によれば、FDAの食品担当のカイル・ディアマンタス副長官が長官代行を務める。「ロイター」(5月10日)によると、次期長官候補としてスティーブン・ハーン元FDA長官や、ブレット・ジロワール元FDA長官代行兼保健福祉省保健担当次官補らが挙がっている。政治専門紙「ポリティコ」(5月12日)によると、マカリー氏の辞任について最終的な判断を下したのは、ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官だったとされる。
マカリー氏がいくつかの希少疾患治療薬の承認を拒否したことから、製薬会社や患者団体などからの反発が広がっていた。2026年3月にはロン・ジョンソン上院議員(共和党、ウィスコンシン州)が承認拒否を巡って、FDAに対する調査を開始した(ブルームバーグ3月10日)。さらに、製薬業界関係者がホワイトハウスを訪れてマカリー氏への不満を訴えるなど、ここ数週間、マカリー氏の更迭を求める動きも出ていた(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版5月12日)。
トランプ氏は、若年層のMAGA(注1)支持者からの支持拡大を狙い、フレーバー付き電子たばこの販売を承認するよう求めていたが、マカリー氏は公衆衛生上の懸念から承認に反対していたとされる。ただ、FDAは最終的に、5月5日に4種類のフレーバー付き電子たばこ製品の販売を承認
している。マカリー氏は、経口妊娠中絶ジェネリック薬「ミフェプリストン」の承認を巡り、中絶反対派の共和党議員からも追及されていた。
マカリー氏は、5月12日にトランプ氏のSNSで公開された辞任を申し出るメッセージの中で、「在任中、私は50件の主要なFDA改革を発表した。バイデン前政権下のFDAでは、そのような改革は1つもなかった」と述べ、医薬品審査期間を1年から1~2カ月に短縮したことや、サイケデリック薬(注2)の推進に向けた新たなガイダンスを作成したことなどを自身の実績として強調した。
FDAではマカリー氏の在任中、幹部職員の離職や大規模な人員削減が続いており、職員の不満が高まっていたとされる。第2次トランプ政権では、クリスティ・ノーム国土安全保障長官(3月)、ロリ・チャベス・デレマー労働長官(4月)、パム・ボンディ司法長官(4月)など、複数の閣僚や政治任用職の高官の離職(辞任や解任)が続いている。保健福祉省では、FDA長官に加え、公衆衛生局長官や疾病予防管理センター(CDC)所長が空席となっているほか、ケネディ長官の首席報道官も電子たばこの承認に抗議し、5月13日に辞任した。なお、政府高官の辞任や解任は、第1次政権でも相次いだ。
なお、FDAの2027年度予算要求に含まれる立法措置の提案(2026年4月17日記事参照)や、FDA長官による「国家優先バウチャープログラム(CNPV、2026年4月28日記事参照)などは、トランプ政権内で支持されており、指導部交代後も維持される可能性が高いとみられている。
(注1)「米国を再び偉大に(Make America Great Again)」の略称で、もともとトランプ氏の選挙キャンペーンのスローガンだが、トランプ氏の支持者を表現する際にも用いられる。
(注2)脳のセロトニン受容体に作用し、意識や知覚、感情を一時的に変化させる物質の総称。トランプ氏は2026年4月18日、重度の精神疾患を抱える患者がサイケデリック療法を受けられるよう、保健福祉省に対し、その利用促進を指示する大統領令
を発令した。
(大垣ジャスミン)
(米国)
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