世界的な石油需要の減少がホルムズ海峡混乱による原油価格上昇を抑制、米EIA予測

(中東、世界)

調査部中東アフリカ課

2026年06月17日

米国エネルギー情報局(EIA)は6月9日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、世界的な石油需要の減少が、ホルムズ海峡の混乱による原油価格上昇を抑制するとの見通しを示した。

同プレスリリースによると、ホルムズ海峡の事実上の封鎖による原油生産および輸送への障害が生じてきたため、中東産油国は1日当たり1,100万バレル以上の減産となっていたという。この結果、世界の石油在庫は大幅に減少しており、2026年の第2四半期には1日当たり630万バレルの減少となる見込みだ。OECD諸国の石油在庫は2003年以来の低水準となっている。

一方、石油需要をみると、2026年の世界の石油需要は前年比で1日当たり110万バレル減少するという。特にアジア地域では、石油に関する政策や油価高騰により、石油消費が大幅に減少しているという。EIAは、これらの需要減少が、ホルムズ海峡を経由する中東からの石油供給の制限による石油価格の上昇を抑制する可能性があると指摘した。

実際に5月時点の原油価格は、米国とイランの合意に関する報道や石油需要の減少を受けて下落していた。一方、EIAは6月7日時点で、2026年の年間平均では1バレル当たり95ドル、2027年の年間平均は79ドルになると予測を示した。

2027年の見通しでは、原油価格の下落と中東での石油生産の回復により、石油需要は1日当たり250万バレル増加するとの予測だ。

また、EIAは、北米の代表的な天然ガス指標価格であるヘンリー・ハブのスポット価格が、100万英国熱量単位(MMBtu)当たりで2025年に3.53ドルだったところ、2026年に3.60ドル、2027年に3.46ドルとおおむね横ばいとなると予測する。

世界銀行の発表によると、5月の天然ガス指数が前月比4.9%増(前年同月比21.2%増)となったほか、飲料価格は前月比5.3%、金属価格は3.7%の上昇となったが、食料価格は1.9%の上昇にとどまった(2026年6月3日記事参照)。

国連は、中東情勢悪化がエネルギー部門での供給制約や価格高騰、運賃・保険料の上昇を通じて、世界的なコスト上昇を招いているとした(2026年5月20日記事参照)。

なお、米国とイランの戦闘終結を巡り、仲介国パキスタンのシャバズ・シャリフ首相は6月15日、和平合意が成立し、6月19日に和平合意の署名式を行うと発表したほか、米国のドナルド・トランプ大統領はホルムズ海峡が開放されると言及している(2026年6月15日記事参照)。

中東情勢と世界各国の動きは「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」「激動の中東情勢:中東各国への影響と展望」も参照。

(井澤壌士)

(中東、世界)

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