米商務省、CHIPSプラス法に基づき先端レーザー開発スタートアップに1億5,000万ドルを交付

(米国)

ニューヨーク発

2026年06月08日

米国商務省とその傘下の国立標準技術研究所(NIST)は6月2日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づき、商用の自由電子レーザー(FEL、注1)を開発するスタートアップ、エックスライト(xLight、本社:カリフォルニア州パロアルト)に対し、1億5,000万ドルの助成金を交付すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

NISTは2025年12月、エックスライト向けに資金を拠出する意向表明書(LOI)に署名しており(2025年12月4日記事参照)、今回の発表はこれに続くものとなる。NISTによると、助成金はニューヨーク州オールバニにある研究開発機関「オールバニ・ナノテク・コンプレックス(the Albany NanoTech Complex、注2)」でのFELのプロトタイプ構築や実証に用いられる。また、エックスライトは同日発表したプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、今回の助成金やエコシステム内での連携を活用して商用のFELを開発することで、半導体製造装置のリソグラフィー技術(注3)に用いられる極端紫外線(EUV、注4)を高出力で供給できるようになるとし、半導体の製造能力拡大とコスト削減を実現できると強調した。

トランプ政権は、量子や人工知能(AI)、重要鉱物といった経済安全保障上の重要分野については、米国内での研究開発や産業育成を目的に補助金を活用する姿勢を示している(注5)。CHIPSプラス法に基づく助成はバイデン政権下で成立したものだが、トランプ政権下でも継続している。具体的には、NISTは2025年9月から、同法に基づき、量子技術のほか先端半導体やAIなどの研究開発プロジェクトを公募している(2025年9月30日記事参照)。今回の発表や、5月に発表された、量子コンピューティングに関係する米国内企業9社に対する、総額20億1,300万ドルの拠出も(2026年5月22日記事参照)、このプロジェクトに基づくものだ。募集は2029年9月まで継続される。

(注1)加速器により高エネルギーを与えた自由電子を用いるレーザー発生装置。発生するレーザーの波長を自由に選択できることが特徴で、半導体のリソグラフィー装置に用いられるEUVなども生成可能。

(注2)半導体の研究開発を支援する非営利法人「NYクリエーツ(NY CREATES)」が運営する研究開発機関。ジェトロは2024年12月、半導体分野における連携強化を目的とした覚書を同法人と締結している。オールバニ・ナノテク・コンプレックスを含む、ニューヨーク州の半導体エコシステムについては、2024年7月4日付地域・分析レポート参照

(注3)設計した回路パターンを、半導体チップの基盤となるシリコンウエハーに正確に転写するための加工形成技術。中でも光を利用して回路パターンを転写するフォトリソグラフィでは、光の波長程度の幅での転写が可能。

(注4)波長が10~120ナノメートル(nm)の範囲にある紫外線。中でも半導体製造で用いられるEUVは13.5nmと非常に短く、先端的な半導体に用いられる微細な回路パターンの形成が可能となっている。

(注5)トランプ政権は重要産業に関し、国内投資を進めるとともに、同盟国・有志国とのサプライチェーン強靭(きょうじん)化や国際的なエコシステム構築にも取り組んでいる。詳しくは、2026年2月6日付地域・分析レポート参照

(滝本慎一郎)

(米国)

ビジネス短信 2b53dc4e662d908a