2025年のEU鉄鋼市場、需要回復も生産は減少、対米輸出も急減

(EU、米国)

ブリュッセル発

2026年06月17日

欧州鉄鋼連盟(EUROFER)は6月3日、2026年版統計報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。EUの2025年の鉄鋼需要は約1億3,440万トンと、4年ぶりに上向いた(前年比4.4%増)。一方、粗鋼生産量は同2.9%減の約1億2,580万トンにとどまり、施設稼働率は64.8%だった(添付資料図、表1参照)。

貿易面では輸出入ともに大きな変化がみられた。2025年の完成品の輸出量は、前年比10.9%減の約1,484万トンだった(添付資料表2参照)。特に、第2位の輸出先である米国向けは同24.8%減と急減した。米国は2025年6月に鉄鋼輸入に対する追加関税率を50%に引き上げた(2025年6月4日記事参照)。これによりEUの対米輸出は第2~4四半期(4~12月)に前年同期比34%減となり、甚大な影響を受けた(6月4日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。 EUROFERは米国に対し、2025年8月にEUと合意した関税割当枠(クオータ)の設定や過剰生産問題(2025年8月22日記事参照)に、EUと連携するよう要請した。EU側は2026年5月20日に同合意に係る法案の政治合意に達し、2026年末までに米国がEU産の鉄鋼などに対する関税を15%以下に引き下げない場合には、対米関税の優遇措置を停止できる仕組みを整備した(2026年5月27日記事参照)。しかし、EUROFERは、クオータ設定など合意内容の履行こそが、EU鉄鋼業界の米国市場へのアクセス回復に不可欠であると強調した。

一方、2025年の完成品の輸入量は同8.8%増の約2,973万トンだった(添付資料表3参照)。半製品も含めた輸入量は前年から14%増加し、EUの鉄鋼消費量の約3割を占めた。EUROFERはEUに対し、域内生産強化にはエネルギー価格の引き下げや投資活性化に向けた条件整備、そして効果的な貿易措置が必要と訴え、EUが7月1日から導入予定の新たな貿易措置(2026年4月17日記事参照)は「重要な一歩」と期待を示した。

同措置は、関税割当量を現行セーフガード措置の約半分となる年間約1,830万トンまで削減し、超過分への関税率を50%に引き上げる。また、迂回輸出対策として、輸入事業者に鉄の溶解・鋳造国の証明を義務付ける。欧州委は証明手続きに必要な書類に係る実施規則の策定に向け、6月4日から7月2日までパブリックコンサルテーション(公開諮問)を実施している(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。この結果も踏まえ、同実施規則を8月末までに採択、10月1日に施行する予定だ。

(滝澤祥子)

(EU、米国)

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