米USTRの「ブラジルに25%の301条関税」提案、ブラジル政府・産業界が懸念表明
(ブラジル、米国)
サンパウロ発
2026年06月04日
米国通商代表部(USTR)は6月1日、ブラジルの不公正な貿易慣行に関して1974年通商法第301条に基づく調査(注1)を完了した結果、ブラジルからの輸入品に対し原則25%の追加関税を課すことが適切だと提案した(注2)(2026年6月4日記事参照)。
USTRは調査結果として、(1)ソーシャルメディアを含むデジタル貿易および電子決済サービス分野における米国企業に対する措置・制限、(2)メキシコおよびインドへの特恵関税の適用、(3)腐敗行為に対する取り締まりの不十分さ、(4)知的財産権の保護および侵害対策の不十分さ、(5)米国産エタノールに対する高関税、(6)違法伐採に対する取り締まりの不十分さ、の6項目を指摘し、これらが米国企業の競争力を損なっていると判断した。
一方、同案では適用除外品目も設定された。牛肉、果物、コーヒー、鉱物、石油など、米国内で十分な供給が見込めない品目が含まれるほか、1962年通商拡大法232条に基づく追加関税措置の対象品も除外された。
ブラジルのマルシオ・エリアス・ローザ開発商工サービス相は6月2日の記者会見で、「最も影響を受けるのは機械・設備など付加価値の高い分野であり、雇用や所得、産業に大きな打撃となる」と懸念を示した。加えて、プラスチック、履物、木製品、板紙、鉄鋼、魚類などへの影響も大きいと指摘した。
全国工業連盟(CNI)は同日付のウェブサイトで、「追加関税はブラジル産業と米国市場の双方に悪影響を及ぼす」としてUSTR案を批判した。サンパウロ州工業連盟(FIESP)、ブラジル米国商工会議所(Amcham)、ブラジル履物産業協会(Abicalçados)も同様の見解を示した。
ブラジル機械工業会(ABIMAQ)のジョゼ・ベローゾ会長は、現地紙「バロール」(6月2日付)のインタビューで、ブラジルの機械・設備の対米輸出の80%以上が同一企業内の拠点間取引であると指摘し、関税導入はブラジル企業の対米投資および米国企業の対ブラジル投資の双方に悪影響を及ぼすと述べた。また、対米輸出の主要品目の1つである機械部品についても言及し、部品輸出は米国の製造業を支えるもので、関税は米国の製造業にも負担となる、と強調した。その上で、「関税が導入されれば、ブラジルに代わり中国が供給国となる可能性がある」との見方を示した。
さらに、現地紙「グローボ」(6月3日付)によると、ブラジル政府は、USTRが6月2日に発表した強制労働を使用して生産された産品の輸入禁止措置をめぐって、同じく1974年通商法第301条に基づき、ブラジルを含む60カ国・地域からのほぼ全ての輸入品に対し10%または12.5%の追加関税を課す案を示したこと(2026年6月3日記事参照)に懸念を表明した。これにより、ブラジル製品に対する追加関税率が最大37.5%に達する可能性がある。
(注1)1974年通商法第301条は、外国の措置・政策・慣行が不合理または差別的であり、米国の商業に負担や制限を与えると判断された場合、USTRに対し、当該国からの輸入品に追加関税などの輸入制限措置を講じる権限や、サービス分野での制限措置などを発動する権限を付与している。USTRは2025年7月、ブラジルを対象に本調査を開始した(2025年7月17日記事参照)。
(注2)USTRは、今回の調査結果について、7月1日までパブリックコメントを受け付けるほか、7月6日に公聴会を開催する予定。米国の法定期限に従い7月15日までに発効する見込み。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル、米国)
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