メキシコ政府、「投資の即時承認に関する政令」を公布
(メキシコ)
メキシコ発
2026年05月08日
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は5月4日、「投資の即時承認に関する政令」を官報公示した。これは、同日に国立人類学博物館で発表した、投資の促進および確実性向上のための複数の政令・省令(2026年5月8日記事参照)の1つだ。同政令は公布の翌日施行とした。主な内容は次のとおり。
〇投資プロジェクトの対象と定義
第1条で、本政令は投資プロジェクトの実施を直ちに可能とする包括的な(事前)許可を設置し、各種法令の順守を損なわないかたちで、投資プロジェクトを促進するものと定めた(注1)。これは、投資プロジェクトが各種許認可を取得してからでないと開始できない状況に対し、当該許可を得ることで、その他許認可と並行して、投資初期の活動を進めることができることを意味する。第2条で、本許可の対象範囲や民間の投資プロジェクトの定義(注2)を定めており、その他の投資プロジェクトにおいても当該窓口から申請されたものには素早く対応する(注3)。
〇許可の申請と承認期間および有効期限
第5条では、当該許可を投資家の申請後30営業日以内に発行するとした(注4)。また、第5条IVで許可の有効期間は発行日から1年間とした(注5)。
〇当該許可期間中における当局の支援
第7条で、当該許可の有効期間中、投資家は当該プロジェクトに必要な行政手続きを行う。すなわち窓口で必要な要件を満たす(書類を提出する)必要があるとした。同行政手続きを所管する当局は要件が満たされた日から60営業日以内に、これに対応する決定を下さなければならない。また、第8条では、地方レベルで必要とされる手続きにおいても指導および支援を行うこととし、許可された投資プロジェクトにおける各種許認可の行政手続きの支援を当局が行うよう定めた。
〇大統領府投資促進局と投資委員会の設置
第8条で大統領府投資促進局、第9条で投資委員会の設置を定め、ここで許可申請書類の確認や審議、許可の承認・却下、取り消しなどを決定するとした。また、付則第2条で、30暦日以内に設置および運用規則の制定を行うとした。
〇全国投資デジタル窓口の設置
第12条で、当該許可を申請するための全国投資デジタル窓口を設置するとした。同窓口はデジタル変革・通信庁によって設計、開発、管理され、他の行政手続きシステムとも相互運用が可能となる。同庁は、本政令の発効後30営業日以内に、「投資手続きの全国統一モデル」を公布し、同モデルの公布から3カ月以内に、連邦、州、市町村およびメキシコ市の行政区と連携してこれを実施する(付則第3条)。さらに、各行政機関は同庁と連携し、本政令の施行日から起算して3カ月以内に、関連する行政手続きを全国投資デジタル窓口に統合する(付則第5条)。
このように、メキシコ政府は、全国投資デジタル窓口通じた電子申請と関連手続きの統一を目指すことで、当該投資プロジェクトにおける許認可を円滑に進めるためのスキームを策定しようとしていることがうかがえる。
(注1)メキシコへの外国企業の直接投資においては、規制業種以外は基本的に外資法に基づく国家外国投資登録(RNIE)制度に基づく登録制度を採用している。当該政令における許可においては、RNIEにおける登録とは異なることに注意が必要。なお、他の許認可においても、当該許認可を取得したからといって免除になることはないことにも留意すべきだ。
(注2)第2条に定める投資プロジェクトの定義は次のとおり。
〇福祉経済開発拠点(Polos de Desarrollo Económico para el Bienestar:PODECOBI)や福祉における循環経済開発拠点などにおける投資であること(PODECOBIについての詳細は、2025年5月27日記事、2026年2月9日付地域・分析レポート「国産化推進に向けた産業・通商政策展開(メキシコ)」を参照)。
〇次のいずれかの要件を満たすこと
- 投資額が少なくとも20億ペソ(約180億円、1ペソ=約9.0円)以上であること。
- 国内法体系(プラン・メキシコなど)において戦略的セクターとして定められた分野に関連する投資、および委員会が定めるその他の投資であること。具体的にはインフラ技術、データセンター、繊維・アパレル、半導体・マイクロエレクトロニクスの設計・製造、自動車・自動車部品、医療機器、製薬・バイオ医薬品、航空宇宙、エネルギー、化学が含まれる。なお、本政令の規定(第13条を含む)から除外されるのは、鉱業および金融分野における投資プロジェクト、ならびに公的投資または共同投資など。
(注3)第13条で、認可を受けていないものの、全国投資デジタル窓口を通じて手続きが行われる投資プロジェクトは、関連書類が適切に提出された日から起算して90営業日以内に、所管当局によって手続きが処理されなければならないとした。また、所管当局が本条に定める期間内に手続きを決定しない場合、当該手続きは承認されたものとみなされるとした。
(注4)第4条では、書類不備がある場合、申請書類提出から申請窓口を通じて10営業日以内に投資家に対して是正を求める通知を行い、通知から5営業日以内に是正を求めると定めた。
(注5)第5条IVでは、申請時に記載した投資プロジェクトの進捗が少なくとも90%を達成している場合に限り、最大2回まで(2年間)更新することができるとした。また、第6条で、申請した投資プロジェクトのスケジュールに従い、窓口を通じて実施進捗状況を四半期ごとに報告する義務を課した。認可された投資プロジェクトに変更が生じた場合、投資家は、当該変更の実施の10営業日前までに、窓口を通じてその旨を報告しなければならない。
(阿部眞弘)
(メキシコ)
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