トランプ政権2期目で2度目の米中首脳会談、成果は限定的との見方
(米国、中国)
ニューヨーク発
2026年05月18日
米国のドナルド・トランプ大統領は5月14~15日、中国を訪問し、習近平国家主席と会談した。トランプ政権2期目で、両首脳の対面会談は2回目となった(注1)。会談では、経済協力、安全保障、エネルギー・重要鉱物の供給確保などの幅広い議題が扱われた模様だが、事前の予想どおり、成果は限定的なものにとどまったとの見方が出ている。
5月17日時点で、両首脳による共同声明や、両政府間の合意文書などは公表されていない。ただし、ホワイトハウスは5月17日に首脳会談に関するファクトシート
を公表した。これによると、両国は、経済安全保障上重要でない分野での米中間の貿易や投資の在り方を議論する枠組みとして、「貿易委員会(board of trade)」と「投資委員会(board of investment)」の設立に合意した。貿易委員会について、米通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表はブルームバーグのインタビュー(5月15日)で、設立案に関するパブリックコメントを募集すると述べた。グリア氏によれば、貿易委員会は、米中両国ともに約300億ドルに相当する品目を対象とする見込みだ。投資委員会については、財務省のスコット・ベッセント長官がCNBCのインタビュー(5月14日)で、「中国が投資可能な、非戦略的かつ非機密性の高い分野を事前に決定するのに役立つ」と述べている。
また、ホワイトハウスのファクトシートでは、希土類(レアアース)や、イットリウム、スカンジウム、ネオジウム、インジウムなどの重要鉱物の供給不足や、レアアースの生産・加工設備および技術の販売の禁止や制限について、「中国が米国の懸念に対処する」と記載された。
さらに、ホワイトハウスによれば、両国は米国産品の中国市場アクセス拡大や、米国産品の購入拡大について合意した。具体的には、(1)中国はボーイングの航空機を200機購入する(注2)。(2)中国は2026~2028年に、米国産大豆に加え、年間170億ドル規模の米国産農産品を購入する。(3)中国は、中国への食肉輸入に必要な施設登録において、期限が切れていた米国の400以上の牛肉取扱施設の登録を延長ならびに新規の施設を登録(注3)するほか、米国の牛肉取り扱い施設に対する全ての輸入停止措置を解除する。(4)中国は、米農務省により高病原性鳥インフルエンザの非発生地域と認定された米国の州の家禽(かきん)肉の輸入を再開する。
これらのほか、会談初日にホワイトハウスがX(旧Twitter)へ投稿した内容によれば、両首脳は、中国企業による対米投資などの経済協力、合成麻薬フェンタニルの米国への流入阻止に向けた取り組みなどについても協議した。また、両首脳は、エネルギー供給確保に向け、ホルムズ海峡の開放が重要との認識で一致したほか、習氏は同海峡への依存度低減のため、米国産石油の購入拡大に関心を示した。両国はイランの核保有に反対することで一致した(注4)。
台湾を巡っては、トランプ氏は米国の台湾への武器売却について習氏と議論したと示唆した(政治専門紙「ポリティコ」5月15日)。一方で、米国の台湾政策の基盤である「6つの保証」では、台湾への武器売却について中国と事前に協議しないことなどが定められている。
通商措置を巡っては、米中両国は現在、双方の追加関税措置や輸出管理措置などを2026年11月まで一時停止することで合意している(2025年11月4日記事参照)。期限が約半年後に迫る中での今回の首脳会談だったが、停止期限の延長などについては議論されなかったもようだ。次回の両首脳による会談は、9月の米国でのG20や11月の中国のAPEC首脳会議などの場が予想されている。なお、トランプ氏は2026年後半に習氏をホワイトハウスに招待する予定だ。
これら一連の結果について、「ポリティコ」(5月15日)は「誇張された約束、乏しい成果」と伝えている。
(注1)1回目は2025年10月に韓国で行われた(2025年10月31日記事参照)。
(注2)5月17日のホワイトハウスのニュースレターによれば、750機まで拡大する可能性があるという。
(注3)米国食肉輸出連合会によれば、中国は、期限が切れていた米国の425の牛肉取り扱い施設に対し5年間の延長を承認したほか、新規に77の施設を5月15日付けで5年間の有効期限で登録した。同会が、米国通商専門誌「インサイドUSトレード」に伝え、同誌が報じた。
(注4)中国側の発表は2026年5月15日記事、イラン情勢については2026年5月18日記事参照。
(赤平大寿、葛西泰介)
(米国、中国)
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