欧州委、第3回「水素銀行」入札結果を発表、低炭素水素も対象に10億ユーロ超の支援を決定
(EU、中国)
ブリュッセル発
2026年05月26日
欧州委員会は5月7日、「欧州水素銀行」の第3回競争入札の結果、9件の水素製造プロジェクトを選定した(プレスリリース
)。欧州経済領域(EEA、注1)11カ国58事業の応募から、7カ国9事業を選定し、電解装置容量は約1.1ギガワット(GW)、財政支援の総額は約10億9,000万ユーロ規模となった。最初の10年間で130万トン以上の水素を生産し、温室効果ガス排出量は二酸化炭素(CO2)換算で約900万トンの削減が期待されている。
今回の入札では、これまでのグリーン水素(2023年6月30日記事参照)に加え、低炭素水素(2025年7月22日記事参照)が新たに対象に含まれた。グリーン水素製造事業(5件)の入札価格は、水素1キログラム(kg)当たり0.57ユーロ(ギリシャ)から0.98ユーロ(オーストリア)までの範囲となった。低炭素水素製造事業(2件)は、0.44ユーロ(フィンランド)および1.10ユーロ(ドイツ)だった。対象に低炭素水素が加わった中、応募件数はグリーン水素製造事業が50件と依然として最大であり、大きな価格差は見られなかった。また、海運・航空分野向けの水素製造事業(2件)は、いずれもノルウェーの案件で、入札価格はそれぞれ3.48ユーロおよび3.49ユーロと、他のカテゴリーに比べて高い水準になった。
さらに、スペインとドイツは、「オークション・アズ・ア・サービス(AaaS)」を通じ、合計約17億ユーロ(スペイン4億4,000万ユーロ、ドイツ13億ユーロ)を国の財源から追加投入する。これにより、EUの共通入札に参加したが、予算制約から採択に至らなかった自国で展開される事業に対し、各国資金で追加の支援が可能となる。
なお、第3回入札における強靭(きょうじん)性基準では、応札事業に含まれる電解装置の少なくとも75%は、中国以外の国を原産とするものでなければならないとされている。さらに当該75%については、水電解装置の中核部分であるスタックの中国からの調達を認めないほか、主要構成部品(注2)についても中国由来のものは最大2種類までに制限されている。
(注1)EU加盟国とノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン。
(注2)ネットゼロ技術の最終製品および主要構成部品のリストを定めるネットゼロ産業法の実施規則(2025年5月29日記事参照)の定義に基づく。
(薮中愛子)
(EU、中国)
ビジネス短信 7cd7c3708bdf7946





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