中国司法部、EU外国補助金規則に基づく中国企業への調査を「不当な域外管轄措置」と認定
(中国、EU)
調査部中国北アジア課
2026年05月19日
中国司法部は5月15日、EUが「外国補助金規則(FSR)」(注1)によって実施した同方威視(注2)への調査において中国のエンティティーに対して行った越境調査を「反外国不当域外管轄条例
(2026年4月15日記事参照)」に定める「不当な域外管轄措置」であると認定し、いかなる組織や個人も同措置を実施、あるいは実施に協力してはならないとする旨の公告(司法部公告第5号)
を発表、即日施行した。
司法部は、EUがFSRに基づく同方威視への調査において、中国のエンティティーに対して広範に不必要な中国国内の情報を要求したことが不当な要求にあたり、国際法や国際関係の基本ルールに明確に違反すると指摘した。その上で、中国の国民、法人、およびその他の組織の合法的権益を守るために、商務部などと共同して今回の認定を行ったと説明した。また、商務部は、EUがFSRによって中国企業への調査頻度を増加させ、調査範囲を拡大し、また、中国の銀行に協力を強いて調査とは関係ない大量の中国国内情報を不合理に収集したことが在欧州の中国企業や銀行の投資や経営に深刻な影響を与えたと指摘した。
EUはFSRに基づき、EU域内の鉄道や再生可能エネルギー(風力・太陽光発電)、安全検査機器などの公共調達入札に関連して多数の中国企業に対する調査を実施している(2024年4月15日記事参照)。中国はこれに対して、EUによるFSRに基づく中国企業への調査が差別的・恣意(しい)的であり、中国企業・製品のEU市場への参入を妨害・制限しているとして「貿易投資障壁」に認定していた(2025年1月20日記事参照)。
中国は外国の制裁措置や域外適用への対応として「反外国制裁法」(注3)や「外国の法律および措置の不当な域外適用を阻止する規則」(注4)、「反外国不当域外管轄条例」などを施行している。直近では、米国がイラン産石油取引への関与を理由に、中国企業5社を「特別指定国民(SDN)」に指定し、資産凍結および取引禁止などの制裁措置を講じたことに対して、商務部が「米国によるイラン産石油に関する中国企業5社への制裁措置に対する禁止令」(商務部公告2026年第21号)
を公布・施行している(2026年5月7日記事参照)。
(注1)EU外国補助金規則の詳細については2022年12月9日記事、2023年7月13日記事、2026年1月15日記事参照。
(注2)同方威視は清華大学を発祥とする安全検査装置やサービスを提供する企業。同社によると、同社の製品・サービスは民用航空、税関、鉄道、道路、郵便・物流、公安・司法、大型イベントなどの幅広い分野で利用され、世界の170以上の国・地域で利用されている。
(注3)ジェトロ調査レポート「反外国制裁法(概要
(573KB)、実務上のポイント
(353KB))」参照。
(注4)ジェトロ調査レポート「外国の法律および措置の不当な域外適用を阻止する規則(概要
(536KB)、実務上のポイント
(384KB)〕」参照
(小宮昇平)
(中国、EU)
ビジネス短信 7840c7cd24095a09





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