中国、米国による中国企業への制裁措置に対し禁止令を公布

(中国、米国)

北京発

2026年05月07日

中国商務部は5月2日、「米国によるイラン産石油に関する中国企業5社への制裁措置に対する禁止令」(商務部公告2026年第21号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、即日施行した。本禁止令は「国家安全法」「対外関係法」「反外国制裁法」および「反外国制裁法実施規定」(2025年3月25日記事参照)、「外国の法律および措置の不当な域外適用を阻止する規則」(以下、阻止規則)などの関連規定に基づくとされている(注1)。

発表によると、中国の国家主権、安全、発展上の利益を守り、中国の国民、法人その他の組織の合法的権益を保護するため、商務部は阻止規則の第2条、第4条、第6条、第7条および業務メカニズムの決定(注2)に基づき、禁止令を公布した。

具体的には、米国が大統領令13902号、同13902号に基づき実施した中国企業5社(注3)に対する「特別指定国民(SDN)」リストへの掲載、資産凍結および取引禁止などの制裁措置を承認、執行、順守してはならないとした。

商務部の説明によると、本禁止令は、米国がイラン産石油取引への関与を理由に、中国企業5社をSDNに指定し、資産凍結および取引禁止などの制裁措置を講じたことを背景に公布したとしている。また、米国の同措置に対し中国は法に基づき総合的な評価を行い、米国によるこれら企業への制裁措置に不当な域外適用が存在することを確認したとしている。また、商務部は、米国による措置について、中国企業と第三国・地域およびその公民、法人、その他の組織との間の正常な経済貿易および関連活動の実施を不当に禁止または制限するものであり、国際法および国際関係の基本原則に違反するものと説明した。

商務部は、本禁止令公布に際し、中国政府は国連の授権や国際法上の根拠を欠く一方的な制裁に一貫して反対すると表明している。また、本禁止令の公布は阻止規則に基づき実施する具体的措置であり、中国が国際的義務を負い履行することには影響せず、中国が法に基づき外資系企業の合法的権益を保護することにも影響しないとした。さらに、商務部は引き続き関係国の法律や措置の不当な域外適用の状況を注視し、阻止規則に定める状況が存在する場合、法に基づき関連の対応を行うとした。

中国は外国による不当な域外管轄措置に関しては2026年4月に「反外国不当域外管轄条例」を公布・施行するなど、対応を強化している(2026年4月15日記事参照)。

(注1)ジェトロ調査レポート「反外国制裁法(概要PDFファイル(573KB)実務上のポイントPDFファイル(353KB))」「外国の法律および措置の不当な域外適用を阻止する規則(概要PDFファイル(536KB)実務上のポイントPDFファイル(384KB))」参照。

(注2)阻止規則によれば、業務メカニズムは中央国家関連部門が参加し、外国の法律・措置の不当な域外適用の有無について評価を行い、当該の外国の法律・措置の不承認、不執行、不順守(禁止令)を決定する権限を持つ。状況に応じて、禁止令の中止・撤回を行うこともできる。具体的な事項は商務部が主導し、発展改革委員会など他部門も参加するとされている。

(注3)恒力石化(大連)煉化、 山東寿光魯清石化、山東金誠石化集団、河北鑫海化工集団、山東勝星化工の5社。

(亀山達也)

(中国、米国)

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