欧州委、外国補助金規則のガイドラインを公表

(EU)

ブリュッセル発

2026年01月15日

欧州委員会は1月9日、外国補助金規則(2023年7月13日記事参照)のガイドラインを公表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ガイダンスは、外国補助金によるEU市場の歪曲(わいきょく)の有無の評価方法、補助金がもたらすプラス効果と歪曲効果の比較衡量(バランシングテスト)の手法、事前通知の要件を満たさない事案において通知を求める場合の条件などに関するものだ。

外国補助金規則は、欧州委が域外国政府の補助金を審査する手段として、大規模な合併や公共調達手続きにおいて、企業に事前通知を義務付けるものだ。欧州委は、事前通知の審査や調査の結果、外国補助金がEU市場をゆがめると判断した場合、是正措置あるいは禁止を命じることができる。地政学上のリスクが高まる中で、欧州委は経済安全保障政策の一環として外国補助金規則を最大限活用する方針を打ち出している(2025年12月12日記事参照)。

ガイドラインは、外国補助金によるEU市場の歪曲を2段階で評価することを明確にした。まず、外国補助金が企業のEU市場における競争上の地位を強化しているかを検討する。EUでの活動を直接対象としていない外国補助金についても、EUでの活動に流用されるリスクがあるため詳細な分析を行う。その上で外国補助金が企業の競争行動のほか市場の動きや競争環境を変化させ、他の企業に不利益を与える可能性があるかを分析する。ガイドラインは、ゆがみを生じさせる可能性のある外国補助金の一覧を例示している。

域内の公共調達においては、欧州委は企業が入札条件の策定において外国補助金を利用したかを評価する。利用したと評価した場合、他の入札や発注元の見積もりと比較し当該企業の入札が不当に有利かを判断する。さらに、入札が不当に有利と判断した場合、その優位性が外国補助金に相当程度起因するかを評価する。

欧州委は、外国補助金により市場がゆがむと判断した場合、バランシングテストを実施する。ガイドラインは、評価対象となるプラス効果は外国補助金に固有のもののみであるとし、歪曲効果の深刻度やそのプラス効果がゆがみなしに達成可能かを考慮することを明確にした。また、企業が提出可能な関連証拠も例示している。

欧州委は、通知義務のない合併や公共調達における外国補助金についても事前通知を求めることができる。この権限に関しガイドラインは、新たなセーフハーバーを設定。低額の公共調達、400万ユーロ未満の補助金、特定の異常事態に対応する補助金は対象外になるとした。

(吉沼啓介)

(EU)

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