中国国務院、外国による不当な域外管轄措置への対応に関する条例を公布、即日施行
(中国)
北京発
2026年04月15日
中国国務院は4月7日、「国家安全法」「対外関係法」「反外国制裁法」などに基づき、「反外国不当域外管轄条例
」(以下、条例)を公布し、即日施行した(中国政府網への掲載日は4月13日)。
条例では、外国が国際法や国際関係の基本原則に違反し、不当な域外管轄措置(注1)を講じ、中国の国家主権、安全、利益を損なった場合、中国政府は相応の措置を取るとしている(注2)。また、国務院の法治担当部門は、関連機関と協力のうえで外国の不当な域外管轄措置の識別作業を行い、調査や対外協議を実施できるとした。識別作業にあたっては、(1)国際法や国際関係の基本原則に関連した違反の有無、(2)外国の域外管轄措置と当該国との関係の適切性、(3)中国の国家主権、安全、発展の利益、中国公民および組織の合法的権益に対する影響、(4)その他の要素が総合的に考慮される。
当該措置が外国の不当な域外管轄措置であると認定された場合、国務院法治部門はそれを公告することが可能であるほか、いかなる組織や個人も当該措置を実施、もしくは当該措置に対する協力をしてはならないと定めている(注3)。また、外国の不当な域外管轄措置の実施に関与した外国の組織および個人を「悪意のあるエンティティリスト」に加えたうえで、主に次のような報復・制限措置を科すとした(注4)。
- ビザ発給拒否、入国禁止、強制退去
- 関連人員の中国国内における滞在・居留資格および就労資格の取り消し・制限
- 中国国内にある財産の差し押さえ・凍結
- 中国国内の組織・個人によるデータや個人情報の提供、取引や協力などの禁止・制限
- 中国関連の輸出入活動や中国への投資の禁止・制限
- 当該組織・個人の製品や交通輸送手段の入国禁止・制限
- 罰金
- その他必要な措置
なお、報復・制限対象となった組織および個人は、措置の停止、変更、取り消しを申請できる。また、当局は同申請に対する評価を行い、評価結果または関連申請の審査状況に基づき、当該措置の一時停止、変更または撤回を決定し、これを公告することができるとした。
司法部は本条例の施行の背景について、一部の西側諸国が、国際法および国際関係の基本原則に違反した不当な域外管轄措置を行っていると指摘したうえで、それらの不当な域外管轄措置に対して対抗措置を講じるための条件、手続き、違反関連の規定を明確にすることが目的であると解説した。また、他国・地域が、外国の「ロング・アーム管轄」(注5)に対して講じている対抗措置などを参考にしたうえで、不当な域外管轄措置に対する執行禁止令を整備したと述べた。
(注1)域外管轄は、自国の裁判権の及ばない地域にいる個人や企業などに対し、自国の法律を適用して司法管轄権を行使することを指す。
(注2)規定では、外国の不当な域外管轄への対抗は汚職取り締まり、独占禁止、反不正競争、輸出管理、データセキュリティー、司法共助などに係るものとされているが、法律法規に別段の規定がある場合はそれに従うとされている。なお、中国はこれまで外国の制裁措置や域外適用への対応として「反外国制裁法」や「外国の法律および措置の不当な域外適用を阻止する規則」などを施行している〔ジェトロ調査レポート「反外国制裁法(概要
(573KB)、実務上のポイント
(353KB))」「外国の法律および措置の不当な域外適用を阻止する規則(概要
(536KB)、実務上のポイント
(384KB))」参照〕。
(注3)条例では、「特別な事情がある場合に限り、国務院法治部門に対して申請を行い、相応の事実および理由、執行あるいは執行への協力が必要な範囲を提供することで、特定の範囲内で当該措置の実施および当該措置に対する協力を可能とする」としている。
(注4)これらの報復・制限は、「悪意のあるエンティティリスト」に記載された組織・個人が実質的に管轄している、もしくは設立や運営に関わっている団体にも適用される。
(注5)ある国が自国の法令を根拠に国外に対しても法的義務を課すこと。
(西島和希)
(中国)
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