4月の米個人消費支出、インフレなどが可処分所得、貯蓄、消費を下押し
(米国)
ニューヨーク発
2026年05月29日
米国商務省は5月28日、4月の個人消費支出(PCE)
を公表した。前月まで所得を押し上げていた農業向けの臨時措置といった特殊要因(2026年5月8日記事参照)が剥落したことで所得の伸びが低下した。さらに、中東情勢に端を発するインフレの影響も重なり、実質可処分所得、貯蓄、実質個人消費は大きく下押しされる結果となった。
所得関連では、個人所得が名目ベースで前月比0.0%増(前月0.5%増)となった。労働市場は強弱入り混じる状況ながらも持ちこたえており(2026年5月11日記事参照)、雇用者報酬(前月比0.25%増、寄与度0.15ポイント)は引き続きプラスを維持しているが、前述の特殊要因の剥落が全体の伸びを抑制した。これに加え、インフレの影響もあり、1人当たり実質可処分所得は前月比0.5%減と3カ月連続でマイナスとなった。貯蓄率も2.6%と、2022年6月に2.2%を記録して以来の低水準に落ち込み、家計の逼迫が目立つ結果となった(添付資料表1参照)。
物価面では、PCEデフレーターは前年同月比3.8%上昇、前月比0.4%上昇と、前月に続き高い伸びとなった(添付資料表2参照)。ガソリン価格や食料品価格の伸びが加速しているのは消費者物価指数の動き(2026年5月13日記事参照)と同様だ。変動の大きい食料・エネルギーを除いたコア指数の伸びは幾分控えめではあるものの、前月比、3カ月前比、6カ月前比、前年同月比のいずれ(注1)でみても連邦準備制度理事会(FRB)が目標とする2%を大きく上回っている。
名目所得の伸びの低下とインフレの影響により、実質消費は前月比0.1%増と、ほぼ横ばいの状態だ。前月までみられた自動車を含む耐久財の伸びは既に一服しているとみられ、財消費(0.1%減、寄与度マイナス0.0ポイント)全体では減速している。サービス消費(0.2%増、寄与度0.1ポイント)については、会員制サービスやカジノをはじめとするレクリエーションサービスは底堅い一方で、その他のサービスの多くは横ばい圏内となっている(添付資料表3参照)。以上を踏まえると、個人向け減税に伴う税還付(注2)による消費押し上げ効果は既に弱まっていることがわかる。低水準にある貯蓄率や労働需要の構造的な弱さを勘案すると、インフレの長期化は、消費の減速傾向の継続につながる可能性がある。
(注1)前月比、3カ月前比、6カ月前比の上昇率を年率換算すると、それぞれ2.9%、3.8%、3.8%となる。前年同月比は3.3%。
(注2)2026年はトランプ政権下で成立した「大きく美しい1つの法案法(OBBBA)」の影響で、税還付額が例年より高くなると予想されていた。
(加藤翔一)
(米国)
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