3月の米個人消費支出、ガソリン価格上昇に伴うインフレが所得の伸びを相殺
(米国)
ニューヨーク発
2026年05月08日
米国商務省は4月30日、2026年3月の個人消費支出(PCE)
を公表した。名目所得が前月比で高い伸びを示した一方、ガソリン価格上昇に伴う影響がこれを相殺し、実質ベースでの所得や消費の伸びを下押しした。
所得関連では、個人所得が名目ベースで前月比0.6%増(前月0.0%減)となった。3月の名目所得の増加は、雇用者報酬(寄与度0.24ポイント、注1)のほか、農業部門の自営業者所得増も大きな要因となっている。ただし、こちらは2025年の収穫期におけるコスト高騰に対応するための臨時措置(Farmer Bridge Assistance program)による影響であると説明されており、一時的な影響増加とみられる。(添付資料表1参照)。
物価関連では、PCEデフレーターは前年同月比で3.5%上昇、前月比で0.7%上昇となり、前月比ベースでは2022年6月以来の高い伸びとなった。中東情勢を受けて、ガソリン価格やこれに直接的に影響される輸送サービスなどが大きく上昇したことが影響している。変動の大きい食料・エネルギーを除いたコア指数は前年同月比で3.2%上昇、前月比で0.3%上昇と全体と比べると伸び幅は幾分控えめではあるものの、今後、輸送コストが財やサービスの価格に広範に転嫁されることも予想される(添付資料表2参照)。
こうしたインフレの影響により名目可処分所得の伸びはほぼ相殺される格好となっており、1人当たりの実質可処分所得は前月比0.1%減と、むしろマイナスになった。これに伴い、消費は名目ベースでは前月比0.9%増の伸びを示したものの、実態として、伸びは貯蓄余力を切り崩す範囲にとどまっており、実質消費は前月比0.2%増と、力強い伸びとは言い難い。また、貯蓄率自体も3.6%と2022年初めころに並ぶ低水準であり、さらなる消費余力がある状態ともいえない。実質消費の内訳をみると、前月と同様、個人向け減税に伴う税還付の増加が影響(注2)し、自動車(寄与度0.09ポイント)などの耐久消費財が伸びる一方で、外食をはじめとする裁量的なサービスの消費は低調だ(添付資料表3参照)。
(注1)公式統計を基にジェトロが計算。
(注2)2026年はトランプ政権下で成立した「大きく美しい1つの法案法(OBBBA)」の影響で、税還付額が例年より高くなると予想されていた。
(加藤翔一)
(米国)
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