3月の石油化学製品の生産減も、在庫などで供給維持、中東以外からの原料調達も増加見込み

(日本、中東)

調査部中東アフリカ課

2026年05月01日

石油化学工業協会は4月23日、「2026年3月生産等実績概要」をプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同発表によると、日本の石油化学産業界では、中東情勢悪化でプラスチック関連製造に利用されるナフサの輸入量に影響もあるが、中東以外からの輸入増加に取り組んでいるとした。

また、中東情勢のほかナフサ分解炉などの定期修理の集中もあり、3月の日本の生産・出荷実績は減少となったが、全体として供給は維持できているとした。3月の生産量をみると、エチレンは前年同月比39%減、低密度ポリエチレンは41%減、高密度ポリエチレンは62%減、ポリプロピレンは28%減だった。スチレン、塩ビ、アセトアルデヒド、合成ゴム、芳香族もいずれも減少をみせた。

一方、発表によると、ナフサおよびナフサから作られる「川中製品」の在庫は、少なくとも化学品全体の国内需要4カ月分は確保されており、ポリエチレンやポリプロピレンなどの主要石油化学製品の在庫もあり、直ちに供給困難となる状況ではないとの認識を示した。

なお、ナフサは日本国内でも生産しており、資源エネルギー庁の3月分の石油製品統計速報によると、国内でのナフサ生産量は前年同月から変動なしだったという(2026年4月30日記事参照)。

日本のナフサの輸入量をみると、2024年時点で中東が73.6%と大半を占め、国別ではアラブ首長国連邦(UAE)が30.4%、クウェートが21.6%、カタールが15.4%を占めていた(石油化学工業協会ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

財務省貿易統計によると、3月の日本の中東全体(全品目)からの輸入額は前年同月比10.7%減だった(2026年4月22日記事参照)。ホルムズ海峡通航が激減する中、同統計では「当該輸入貨物の輸入許可の日」に輸入額が計上となり、中東情勢悪化前に海峡を通過した貨物も3月に日本に到着し輸入額に計上される。

4月以降の統計には中東情勢悪化の影響が出る見込みだが、経済産業省の「中東情勢に関する関係閣僚会議」に関する資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(4月30日時点)によると、米国やアルジェリア、ペルーなど中東以外からのナフサの輸入が、中東情勢悪化前の水準に比べ、5月には約3倍(135万キロリットル超)となる見込みだとした。また、ナフサの原料となる原油輸入においても4月は代替調達などで例年の約2割以上(日量約50万バレル)を確保し、不足分は備蓄放出で補充し、5月は中東や米国に加え、中央アジア、中南米、アジア大洋州などからの代替調達で例年の約6割(日量約140万バレル)を確保する見込みだという。一方、経済産業省は需要側の過剰な発注が各種製品の流通の目詰まりにつながる事例もあると指摘した。

なお、日本の外務省はペルシャ湾に滞留していた日本関係船舶1隻(石油タンカー)がホルムズ海峡を通過したと発表している(2026年4月30日記事参照)。

中東情勢により、貿易や生産のほか、物価なども変動しており状況は流動的だ。最新情報について、特集「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」も参照。

(井澤壌士)

(日本、中東)

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