中国EU商会がレポートを発表、中国の輸出管理強化を懸念
(中国、EU)
北京発
2026年04月20日
在中国欧州企業などの団体である中国EU商会は4月14日、中国の輸出管理制度を分析したレポート「輸出管理:中国の新たな戦略的ツールキット
」を発表し
た。
同レポートでは、米中貿易摩擦の激化を背景に、中国が輸出管理を戦略的貿易ツールとして活用する傾向を強化していると指摘した。その上で、中国による輸出管理の継続的な強化が、欧州企業に中長期的なビジネスリスクをもたらすと分析している。また、現在暫定停止されている中国の輸出管理措置(2025年11月11日記事参照)が将来実施されれば、世界のサプライチェーンに衝撃を与え、世界貿易システムの分断をもたらすほか、中国と欧州の双方に不利益をもたらすと強い懸念を表明した。
レポートでは、米中貿易摩擦が激化する中で、米国と中国が2023年以降に実施した追加関税措置や輸出管理措置(注1)を整理した上で、輸出管理は中国にとって有効な対抗手段として活用されてきたと分析した。特に、レアアース関連品目に対する輸出管理措置が米国を交渉に復帰させた一方で、多くの欧州企業がサプライチェーンの混乱や収益の損失に直面していると指摘した(2025年12月8日記事参照)。また、中国が一部の重要なサプライチェーンにおける準独占的地位を通じて蓄積してきた支配力の大きさ、そしてその支配を重要な技術や素材に対して行使する意思を示していることは、欧州にとって根本的な経済および国家安全保障上の懸念をもたらしていると評価した。さらに、場合によっては欧州が対抗措置を取らざるを得なくなる状況を招く可能性があるとした。
こうした状況を踏まえ、同レポートは中国政府に対し、(1)EU企業に対して域外適用される輸出管理措置の実施を撤回する、(2)輸出管理措置を慎重に実施し、輸出管理の対象を真に軍事転用リスクのある両用(デュアルユース)品目に限定する、(3)輸出管理を巡って中国EU商会と定期的に対話を行い、企業側の懸念を正確に把握する、(4)輸出管理措置の実施においては、サプライチェーンの混乱を防止もしくは可能な限り最小化する、(5)すべての正当な申請者に適用される、明確かつ透明性の高い許可申請・通関手続きを確立する、(6)企業の申請が却下された場合の不服申立ての仕組みを構築すること、を提言している(注2)。
中国EU商会のイェンス・エスケルンド会頭は、中国の輸出管理措置について、「軍事転用防止と正当な民間貿易を両立させる、より的確で精密な運用が双方の利益に資する」との見解を示した。
(注1)中国政府が2023年以降に打ち出した輸出管理措置については、2026年3月10日付地域・分析レポートを参照。
(注2)同時に、EUに対しては、中国による輸出管理措置の域外適用の撤回・見直しを求めるとともに、EUの強みを生かし、必要に応じて貿易防御手段を活用することや、中国と建設的かつ成果重視の対話を維持することが必要だと要望した。また、欧州企業に対しては、サプライチェーンにおける中国への依存度を的確に把握し、代替調達先の確保などのリスク緩和策をあらかじめ講じるよう求めている。
(張敏)
(中国、EU)
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