在中国の欧州企業、輸出管理対応で約3割がサプライチェーンの調整を検討

(中国、EU)

北京発

2025年12月08日

在中国欧州企業の団体である中国EU商会は12月1日、中国の輸出管理の影響に関するクイックサーベイの結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同調査は、中国EU商会の会員企業へ11月6日から11月24日にかけてアンケートを行ったもので有効回答数は131社(注1)となっている。

同調査によると、24%の回答企業が「中国の輸出管理による直接的な影響を受けている(または受けると予想している)」とし、50%がサプライヤーや顧客といった取引先が「影響を受けている」と回答した。さらに、回答企業の68%が、輸出管理対象となる中国産品に依存して海外生産を行っており、32%が「域外適用」(注2)による影響を懸念している。

輸出許可の申請プロセスに関しては、回答企業の40%が45日間の審査期限を超過したと回答した。そのほかに、同プロセスの透明性欠如(39%)、申請要件の不明確さ(21%超)などが指摘されている。

輸出管理の影響については、輸出許可の申請プロセスにより納期が遅延していないと回答した企業はなかったほか、40%が「2カ月以上の遅延」と回答した。また、現在の措置により、2025年の全世界売上高の20%に相当する追加コストが発生すると試算していると回答した企業もあった。さらに、発表済み(2025年10月9日に発表され、現在暫定停止されているものを含む)の輸出管理措置がすべて実施される場合、サプライチェーンに「中程度」または「重大な」混乱が生じるとの回答が60%、生産の停止や遅延に直面する可能性があるとの回答が13%あった(注3)。

輸出管理への対応策として、サプライチェーンの調整については、「影響を受ける製品を中国以外の市場から調達することを計画している」が32%、「状況を注視中」が43%、「中国国内での生産を増やす」が11%だった。

今回の調査結果について、中国EU商会のイェンス・エスケルンド会頭は、「中国の輸出管理は、在中国欧州企業の事業展開における不確実性を高めている」と指摘しつつ、これらの措置が、中国の貿易相手国・地域の反発を招き、世界貿易システムにさらなる圧力を加えることについて懸念を示した。また、欧州商工会議所のステファン・ベルンハルト副会頭は、包括許可制度を導入することによって、安定性と予見可能性を高めることができると述べた。

(注1)同レポートで引用されている回答割合は、最初の設問「どの輸出管理規制による影響を受けているか(または受けると予想するか)」で、「影響がない」と回答した企業を除外し、「影響がある」と回答した75社を母数として算出されているものとなる。

(注2)中国商務部が10月9日に発表した第61号公告では、12月1日から中国国外の組織や個人が中国以外の国・地域へ中国原産などの一部レアアース品目を輸出(再輸出)するなどの場合、同部による両用品輸出許可を取得する必要があるとしていた(2025年10月14日記事参照)。なお、米中貿易協議での合意事項に基づき、レアアース輸出管理措置などの実施は1年間の暫定停止となった(2025年10月31日記事11月11日記事参照)。

(注3)再輸出に関する規制などの「域外適用」が実施される場合、サプライチェーンに「中程度」または「重大な」混乱が生じるとの回答が62%となった。

(張敏)

(中国、EU)

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