VW、米テネシー工場でEV生産終了へ、内燃機関搭載SUVに生産シフト

(米国、ドイツ)

アトランタ発

2026年04月14日

ドイツの自動車メーカーのフォルクスワーゲン(VW)グループは4月9日、同社の米国内唯一の完成車工場のテネシー州チャタヌーガ工場において、電気自動車(EV)「ID.4」の生産を2026年4月中旬に終了すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同工場での生産を需要の高い車種に重点化し、内燃機関搭載(ICE)の多目的スポーツ車(SUV)「アトラス」の新型モデルの生産を2026年夏から開始する。

VWは2022年に同工場でID.4の生産を開始した。同年後半には月間生産台数を7,000台に引き上げ、2023年以降も生産を拡大する方針を示していた。一方で、ID.4の米国での販売台数は、2023年に3万7,789台だったのに対し、2024年は1万7,021台、2025年は2万2,373台にとどまり、2025年第4四半期は前年同期比61.6%減と大きく落ち込んだ。ソフトウエアの不具合や駆動系に関連する問題(4月10日、中国EV充電器メーカーEVDANCEのニュースサイトより)のほか、トランプ政権によるEV税額控除の撤廃などの政策変更により、EV需要が鈍化したことも影響した可能性がある(2026年1月19日付地域・分析レポート参照)。

VWの発表によれば、2026年モデルのID.4は、在庫がある限り米国内での販売を継続し、2027年までの需要を満たす見込みとしている。また、北米市場向けID.4の次世代モデルについても計画が進行中で、詳細は近日中に公表する予定だとしている。

チャタヌーガ工場の総従業員数は約4,500人で、このうちID.4関連の業務に従事する時給制の従業員については、勤続年数を踏まえ、同工場の労働組合と協議の上、工場内の他の職務への配置転換を行うほか、要件を満たす従業員に対しては特別早期退職プログラムを提供する。

同工場では2024年4月に、米国自動車大手3社(注1)以外の自動車メーカーの米南部の工場として初めて、全米自動車労働組合(UAW)傘下の労働組合が結成された(注2)。さらに、2026年2月にはVWと同労働組合が初めて労使合意に達した。UAWによると、賃上げに加え、工場閉鎖などに対するより強固な雇用保障についても合意したとしている(2026年2月10日記事参照)。

(注1)ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、ステランティス。

(注2)UAWは2023年11月29日に、米国で組合を持たない自動車メーカー13社に勤務する約15万人の労働者向けに、組合への加入を促すキャンペーンを開始した(2023年12月8日記事参照)。その結果、2024年4月にVWのチャタヌーガ工場でUAW傘下の労働組合が結成された(2024年4月23日記事参照)。キャンペーンの対象となった自動車メーカーは、日系のトヨタ、ホンダ、日産、スバル、マツダ、韓国系の現代、欧州系のメルセデス・ベンツ、BMW、VW、ボルボ、米国EVメーカーのテスラ、リビアン、ルーシッドの13社。

(檀野浩規)

(米国、ドイツ)

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