米テネシー州のVW工場、全米自動車労働組合傘下の労組と20%の賃上げなどで暫定合意
(米国、ドイツ)
アトランタ発
2026年02月10日
全米自動車労働組合(UAW)は2月5日、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)とVWの米南部テネシー州チャタヌーガ工場の労働者間で、一律20%の賃上げ、医療保険の改善、雇用保障の措置などで暫定合意に至ったと発表
した。
同工場では2024年4月に、米国自動車大手3社(注1)以外の自動車メーカーの米南部の工場として初めて、UAW傘下の労働組合が結成された(注2)。その後、VWとUAWが賃上げや福利厚生の改善などについて交渉していたが、交渉は難航していた。2025年10月には、必要に応じてストライキを呼びかける権限がUAW交渉委員会に付与され、ストライキの可能性も危惧されていた。他方で、同委はストライキを呼びかけず、VW経営陣とのさらなる交渉が継続された(2025年11月4日記事参照)。
今回のUAWの発表によると、VWが2025年10月に提示した最終提案と比べて、ストライキ権の保護、追加報酬、工場閉鎖などに対するより強固な雇用保障などが大幅に改善された。賃上げは20%とされ、当初期待されていた25%には届かなかった。ただし、UAWのショーン・フェイン会長は、2023年に同工場でUAW傘下の組合結成の可能性が出てきた後、「VWが11%の昇給を行った」と指摘し、賃上げ水準の妥当性を説明した。同工場の労働者は数日中に暫定合意の詳細を受け取り、承認可否を問う投票が行われる予定だ。
このほか、米国大手3社以外での南部でのUAW傘下の労働組合結成については、ドイツ自動車大手メルセデス・ベンツのアラバマ州タスカルーサ工場で従業員投票での否決により、いったんは大きな動きが止まっている(2024年5月21日記事参照)。一方でフェイン会長は、「南部では自動車工場の労働者が組合を結成し、組合契約を獲得することは不可能だと言われてきたが、今回の暫定合意は、労働者が立ち上がり、公正な待遇を要求したときに何が起こるかを証明している」と述べ、UAW未加入の労働者に対しても加入を訴えた。
(注1)ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、ステランティス。
(注2)UAWは2023年11月29日に、米国で組合を持たない自動車メーカー13社に勤務する約15万人の労働者向けに、組合への加入を促すキャンペーンを開始した(2023年12月8日記事参照)。キャンペーンの結果、2024年4月にVWのチャタヌーガ工場でUAW傘下の労働組合が結成された(2024年4月23日記事参照)。対象となった自動車メーカーは、日系のトヨタ、ホンダ、日産、スバル、マツダ、韓国系の現代、欧州系のメルセデス・ベンツ、BMW、VW、ボルボ、米国電気自動車(EV)メーカーのテスラ、リビアン、ルーシッドの13社。
(檀野浩規)
(米国、ドイツ)
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