欧州委、中東情勢によるエネルギー価格高騰への対応方針を提示
(EU、中東)
ブリュッセル発
2026年04月17日
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は4月13日、中東情勢がEUに及ぼす影響への対応について、方向性を整理(オリエンテーション・ディベート)した(プレスリリース
)。4月23~24日に議長国キプロスで開催される予定の欧州理事会(EU首脳会議)の非公式会合に向け議論されたもの。
同委員長は冒頭、紛争開始から44日間で、EUの化石燃料輸入費用は220億ユーロ以上増加し、仮に敵対行為がすぐに停止した場合も、湾岸地域のエネルギー供給の混乱の影響は、しばらく続くだろうと話した。このため、非公式会合の前日までに、対応策に関する政策文書を公表する予定と述べ、その主な内容を説明した。
まず短期的な措置としては、加盟国間の協調の重要性を強調し、2022年のエネルギー危機への対応の一環として、エネルギー・プラットフォームを通じたガスの共同調達(2023年5月9日記事参照)により、900億立方メートルの需要を集約し、770億立方メートルの供給のマッチングを行った実績を紹介。この枠組みを、加盟国が同時に調達することで互いに競合しないよう、ガス備蓄の充填(じゅうてん)をEUレベルで調整することや、石油備蓄放出を協調して実施することで市場の安定化を図るほか、各国の緊急措置が単一市場を損なわないよう確保する策を挙げた。
また、エネルギー価格高騰への支援措置は、対象を限定し、迅速かつ一時的に実施することが重要と述べ、例えば最も影響を受ける産業分野に対する一時的な国家補助枠組みの緩和策は4月中にも採択したいと話した。このほか、エネルギー需要の削減策として、建物の改修や産業設備の更新を通じたエネルギー効率向上策も含まれる予定。
中長期の構造的対策として、エネルギー料金を構成する4つの要素のうち、EU排出量取引制度(EU ETS)については、既に市場安定化リザーブの見直し案を提示(2026年4月9日記事参照)し、電力税および送電網使用料については、5月に立法提案を行う方針を示した。最大のコスト要因であるエネルギー源については、化石燃料依存からの脱却に向け、再生可能エネルギーと原子力の活用拡大を進めるとともに、未使用のクリーン電力を活用するための貯蔵や柔軟性の確保、送電網接続の加速を図る考えを示し、送電網パッケージ(2025年12月19日記事参照)は2026年夏までに前進させたいとした。このほか、5月には電化促進行動計画が発表される予定だ。
(薮中愛子)
(EU、中東)
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