EU域内企業、初のガス共同購入に向けて始動

(EU)

ブリュッセル発

2023年05月09日

欧州委員会は4月25日、EUレベルでのガスの共同購入に向けた、EUエネルギープラットフォームの中核となるアグレゲート(Aggregate)EUを通じ、域内企業が需要を登録する初のプロセスを開始したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

アグレゲートEUは、2022年4月に設立されたEUエネルギープラットフォームの中核要素で、76社が登録をしている(2023年4月25日現在)。欧州委は2022年10月にガスの共同購入を含むエネルギー緊急規則案を発表(2022年10月20日記事参照)し、EU理事会(閣僚理事会)が12月に正式に採択した。欧州委は今回、EUとして市場を集約することで価格交渉を有利に行い、2023~2024年の冬に向けガス備蓄を進めるための重要な一歩だとした。

登録企業は5月2日までにガスの需要量の提出を済ませており、アグレゲートEUが需要を集約し、第1回入札が行われる。欧州の総需要と国際的なガス供給事業者のオファーがマッチすると、参加企業はガスの購入と納期に関する契約条件について交渉を開始する。欧州委はこの交渉には干渉しない。最初の購入契約は夏前に締結される見込み。今後1年間、2カ月ごとに入札が行われる予定。

EUエネルギープラットフォームは、EU加盟国とエネルギー共同体の締約国(注)の企業が参加可能で、EU域外からは現在、ウクライナ、モルドバ、セルビアが関心を示している。

(注)エネルギー共同体のEU域外の締約国は、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ、北マケドニア、ジョージア、モルドバ、モンテネグロ、セルビア、ウクライナの9カ国。

(大中登紀子)

(EU)

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