欧州委、電化推進に必須の送電網整備に向け、機関投資家の呼び込み戦略を発表
(EU)
ブリュッセル発
2026年03月18日
欧州委員会は3月10日、中長期的なクリーンエネルギー投資戦略、短期的な一般消費者向けエネルギー価格対策、小型モジュール炉(SMR、2026年3月18日記事参照)戦略からなるエネルギー政策パッケージを発表した(プレスリリース
)。
欧州委は、地政学的な不確実性が増す中で、域外からの輸入に頼らざるを得ず価格変動の大きい化石燃料ではなく、脱炭素化に貢献するクリーンエネルギーであり、域内で生産可能かつ発電コストの低い再生可能エネルギー(再エネ)と安定供給が可能な原子力との組み合わせが、エネルギーの自活や域内産業の競争力強化において最善の選択だとしている。ただし、クリーンエネルギーへの移行には2030年までの期間に年間6,600億ユーロの投資が必要だと試算しており、いかに民間投資を呼び込むかが課題となっている。そこでクリーンエネルギー投資戦略は、域内の民間資金をクリーンエネルギーのインフラ投資に動員するための機関投資家向けの資金調達メカニズムを提案する。
欧州委が整備に向け取り組みを強化する送電網(2025年12月19日記事参照)などのエネルギーインフラを主な対象に、今後3年間で750億ユーロを投資する欧州投資銀行(EIB)グループの資金を呼び水とし、12兆ユーロともいわれる域内の保険会社や年金基金などの機関投資家の呼び込みを狙う。
まずは、送電網利用料金など将来収益の証券化だ。将来の収益を譲渡可能な証券に転換することで、機関投資家が求める長期的に安定したリターンを提供する。
次に、EIBグループがアンカー投資家となるハイブリッド債の活用だ。これにより送電事業者は、債務限度を超えることなく資金を調達でき、リスクを嫌う機関投資家にとっても魅力的な投資対象となる。
さらに、エネルギーインフラ事業における自己資本不足を補うため「戦略インフラ投資基金(SII基金)」を設置し、インフラファンドや資産運用会社とともに、直接共同投資を行う。EIBグループは、この協働モデルにおいて、最大5億ユーロを出資する方針だ。
一方、一般消費者向けのエネルギー価格対策には目新しいものはなく、これまでと同様(2025年12月8日付地域・分析レポート参照)、加盟国に対し税金やネットワーク料金の引き下げなどをあらためて提言した。
(吉沼啓介)
(EU)






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