ベトナム、アルジェリアに石油・ガス支援要請

(アルジェリア、ベトナム、カタール、イタリア、イラン、中東)

パリ発

2026年03月24日

中東情勢の悪化に伴い、石油や天然ガスの物流の要衝であるホルムズ海峡の通航が停止状態となり(2026年3月4日記事参照)、世界的に液化石油ガス(LPG)、石油原材料の入手が困難な状況が続いている(2026年3月16日記事参照)。このような中、ベトナムのファム・ミン・チン首相は3月18日、アルジェリアのシフィ・グリエブ首相と電話会談を行い、中東情勢の緊迫化やエネルギー市場の混乱を踏まえ、両国の協力強化、とりわけエネルギー分野での連携拡大について意見交換した(3月20日付ベトナム首相官邸コミュニケ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

両国は独立闘争期からの友好関係を基盤に、非同盟諸国として協力を重ね、近年では石油・ガス分野における2国間協力の促進を目的とした覚書(MOU)締結など、エネルギー分野での連携を強化している。こうした関係を踏まえ、ファム・ミン・チン首相は、2025年11月のアルジェリア訪問で両国関係が戦略的パートナーシップへ格上げされたことに言及し、原油・ガス供給の確保に向けアルジェリアの支援、そしてベトナムの国営石油ガス会社ペトロベトナム(PVN)傘下のベトナム国営石油探査生産公社(PVEP)とアルジェリア国営炭化水素公社ソナトラック間の協力強化を要請した。これに対しグリエブ首相は、ベトナムのエネルギー安全保障を「支援する用意がある」と応じた。

3月19日付アルジェリアの地元紙「アルジェリア・エコ」は、ホルムズ海峡閉鎖の影響でベトナムでは燃料価格が40%超上昇し、ガソリン、ディーゼルなど各燃料は高騰していると報じた。こうした状況を受け、ベトナム政府は、燃料価格の一時的な引き下げに向け、燃料価格安定基金の取り崩しを開始した。同基金は、国際市況の変動期に小売価格の急変動を抑える仕組みで、燃料販売業者が販売量1リットル当たり一定額を拠出する制度となっている。ただし、現在の拠出水準が続いた場合、基金が価格安定を支えられる期間は約15日間にとどまるとされている中、新規調達元の開拓により供給リスクの分散と価格安定化を急ぐ構えだ。

3月19日付「ロイター」によると、イランによる攻撃で設備が損傷した主要エネルギー輸出国であるカタールは液化天然ガス(LNG)生産能力の約17%が3~5年停止し、同国の輸出能力の低下が長期化する見通しがあるという。カタールからのガス供給減少に対応するため、イタリアを含む複数国がアルジェリアと協議を進める中、国内需要の増加で炭化水素の輸出余力が縮小しているアルジェリアは、外国企業との提携を拡大し、新規ガス田の開発加速やシェールガス開発に活路を見いだしている(2026年1月21日付地域・分析レポート参照)。しかし、短期間で生産量を大幅に引き上げることは難しく、こうした新規需要にどこまで対応できるかが課題となっているという。

(ピエリック・グルニエ)

(アルジェリア、ベトナム、カタール、イタリア、イラン、中東)

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