LPG、石油原材料を中心に入手困難な状況、中東情勢長期化すれば4月以降の操業に影響も
(ベトナム)
ホーチミン発
2026年03月16日
緊迫する中東情勢を受け、ベトナム国営ガス大手のペトロベトナムガス(PVガス)は3月2日、LPG(液化石油ガス)の供給について、災害などにより販売先への供給義務が免除される「フォースマジュール(不可抗力)」条項の適用を宣言した。さらに、ベトナム国内の日系企業の中には、石油原材料の4月以降の納入予定が見通せないとする企業もある。
ベトナムのLPGは国内生産と輸入によって賄われており、輸入LPGの約70%が中東地域から供給されている(ベトナム政府電子版3月4日)。LPGは家庭用をはじめ、工業用では金属製品製造、鉄鋼、食料品製造など、さまざまな用途に使用されている。
ジェトロはLPGや石油原材料に関し、ベトナムに進出する日系企業6社に現在の状況や今後の対応についてヒアリングした(ヒアリング日:3月12~13日)。ヒアリング内容は次のとおり。
〇工場で熱源を必要とする企業は重油、軽油を使用しているところもあるが、最近はLPG、CNG(圧縮天然ガス)に切り替わっている。中にはバイオマスを使用している企業もある。在ベトナム日系企業が取引する現地ディストリビューターは、さまざまな仕入れ先を持っているが、その中で最も割合が大きいのがPVガス。各ディストリビューターは、懸命に仕入れ先を探しているが、3月9日の週後半から仕入れ先を見つけるのが困難となり、価格は通常より3~5割上昇し、取り合いになっている(エネルギー商社)。
〇主な熱源がLPGで、工場へのLPGの納入が綱渡りの状態。製品の塗装を乾燥する工程では大量の熱源が必要(機械メーカー)。
〇エチレンは各国で供給量が減少。エチレンを原料とする化学製品については、国内製造や海外調達が不安定化する懸念があり、4月以降の納入予定は不明(化学メーカー)。
〇サウジアラビアから輸入している梱包(こんぽう)材が在庫限りで今後の調達が不透明となっている。一方、取引先との関係上、梱包材について材料を変更して納品することが難しい可能性があるとの懸念(自動車向け部品メーカー)。
〇LPGを材料としたポリプロピレンの樹脂材料について、ベトナム国内メーカーで新規注文の受付停止と、取引先全社に不可抗力の通知が出された。石油を原料とした樹脂材料は出荷できると聞いている(専門商社)。
〇一部工場でLPGボイラーを使用しているが、LPGとCNGを兼用できるガス設備を有しており、現在はCNGを使用している。CNGは今のところ供給自体に影響はない(食品メーカー)。
PVガスは、ホーチミン市南東部のディンコーと南部カマウ省の2つのガス処理施設による国内生産のLPGを増産させ、国内市場への供給を5%増加させるとしている。
(新田和葉)
(ベトナム)
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