IEAの32加盟国が石油備蓄放出で合意、日本は3月16日にも放出する方針

(日本、中東、世界)

調査部中東アフリカ課

2026年03月12日

イスラエルおよび米国は2月28日、イランに対する攻撃を開始し、これに対しイランは中東諸国の米軍基地や空港、民間施設などへ反撃を行っている。中東情勢の悪化に伴い、石油や天然ガスの物流の要衝であるホルムズ海峡の通航が停止状態(2026年3月4日記事参照)となり、世界のエネルギー供給に関して注目が集まっている。

このような中、国際エネルギー機関(IEA)は3月11日、32加盟国が中東での軍事衝突に起因する石油市場の混乱に対処するため、石油備蓄から4億バレルを市場に放出することで満場一致で合意したとプレスリリースした外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。ファティ・ビロルIEA事務局長は「現在、直面する石油市場の課題規模は前例のないものであり、IEA加盟国が共同で緊急措置を講じたことを喜ばしく思う」と述べた。緊急備蓄は、各加盟国の事情に応じて、適切な期間内に市場に放出される見込みだ。今回の共同の放出は、1974年のIEA創設以降、6回目となる(1991年、2005年、2011年に各1回実施、2022年には2回実施)。

IEA加盟国は約12億バレル超の緊急備蓄を保有し、加えて政府の要請に基づき産業界が約6億バレルを備蓄しているという。IEAによると、2025年のホルムズ海峡を通過した原油・石油製品は日量2,000万バレルで世界の海上石油貿易量の約25%に達した。また、ホルムズ海峡を迂回する石油輸送は限定的だ。

高市早苗首相は3月11日の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、3月下旬以降に日本の原油輸入は大幅に減少する見通しであり、世界でも中東依存度が突出して高いため、大きな影響を受けるとした上で、ガソリンなどの石油製品の供給に支障が生じないよう、G7やIEAとも連携をしながら、日本の石油備蓄を活用するとの方針を示した。さらに、日本が率先して、国際エネルギー市場における需給の緩和に向けて、3月16日にも、民間備蓄15日分を放出するとともに、1カ月分の国家備蓄も放出すると言及した。

そのほか、日本政府は3月上旬、イラン情勢を踏まえたエネルギー対策本部を設置したほか、日本の原油の主要輸入元のアラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビア閣僚とも地域情勢や資源の安定供給について協議している(2026年3月9日記事参照)。

なお、日本の原油の輸入は93.5%を中東に依存している(2026年2月26日記事参照)。

現地情勢については、特集「イスラエル・米国とイランの衝突に関する中東情勢、各国の反応」を参照。

(井澤壌士)

(日本、中東、世界)

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