鉄道用のレールの関税割当を設定、15万トンの枠内で無税に

(メキシコ)

調査部米州課

2026年03月31日

メキシコ政府は3月26日付官報で政令を公布し、輸出入関税率表改正などを定めた2022年11月18日付政令を改正、鉄道用レール(HS7302.10.02)の輸入に関税割当を設定した。経済省が発給する割当証明書を持つ輸入者が輸入する場合、割当内で無税となる。3月27日時点でパブリックコメント公募中の経済省令草案によると、割当総量については、2027年3月31日までの期限で15万トン。同品目の一般(MFN)関税率は、2025年12月29日付官報で公布された輸出入関税法の改正(2026年1月6日記事参照)に基づき、従来の0%から20%に引き上げられていた。

政府は政令の前文において、鉄道インフラの開発と貨物・人員輸送の物流チェーンにおいてレールは戦略的な素材であるとし、国家開発計画(2025~2030年)で戦略的インフラとして鉄道網拡充を掲げていることに言及。このように国にとって重要かつセンシティブな財の供給を保証し、同財の調達に悪影響を与える状況に備えることを関税割当設定の目的としている。クラウディア・シェインバウム現政権発足以来、国の投資予算の多くが鉄道網整備に宛てられており、2026年度予算でも実物投資予算の多くが鉄道プロジェクト向けだ。鉄道建設は現政権が最重視するインフラプロジェクトといえる(2025年9月25日記事参照)。

中国からの調達に有利、割当内では日本のFTA優位性が消失

鉄道レールは列車の重量や高速走行による大きな荷重を繰り返し受けるため、強度・耐摩耗性・疲労特性に優れた鋼材が必要だ。また、レールに欠陥があると脱線など重大事故につながる危険があるため、極めて高い品質と信頼性が求められる。そのため、メキシコ国内では鉄道レールは生産されておらず、輸入調達が基本だ。

メキシコの同品目の輸入をみると、最大の輸入相手国は米国と中国であり、公共入札の受注状況などに応じて変動する(添付資料表1参照)。日本からの調達は2024~2025年はほぼゼロだが、2022年後半に実施されたアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール前政権下でのマヤ観光鉄道(2018年12月25日記事参照)のレール調達入札で日本製が落札したこともあり、2023年には7万7,000トン超が輸入されていた。メキシコの主要輸入相手国の多くがメキシコの自由貿易協定(FTA)締結相手国であるため、今回の措置は、メキシコとのFTAがない中国製のレールに有利に働く。世界の主要な鉄道レール輸出国は、中国、オーストリア、日本、イタリア、スペイン、フランスなどだが、各国の輸出通関統計をみると、中国の輸出単価は他国と比べて27%以上低い(添付資料表2参照)。中国製との競争の観点から、メキシコの同品目のMFN関税率引き上げは日本製にとっては追い風だったが、今回の措置により、日本メキシコ経済連携協定(日墨EPA)や環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)による関税メリットが割当数量枠内では失われ、今後のレール入札では中国製との厳しい価格競争が予想される。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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