マヤ観光鉄道の建設開始、大統領が宣言

(メキシコ)

メキシコ発

2018年12月25日

メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は12月16日、チアパス州パレンケで行われた、マヤ観光鉄道建設のための先住民による儀式に出席し、建設の開始を宣言した。

マヤ観光鉄道建設計画は、総工費約1,500億ペソ(約8,400億円、1ペソ=約5.6円)をかけて、チアパス州、カンペチェ州、タバスコ州、ユカタン州、キンタナロー州の5州を17の駅で結ぶ巨大プロジェクトだ。実現すれば、メキシコ国内で最大級の鉄道となる。パレンケを拠点に、カリブ海に面したリゾート地であるカンクンからチチェン・イツァを通り、メリダ、カンペチェを結ぶ北部ルートと、カンクンからプラヤ・デル・カルメンへ南下し、トゥルム、カラクムル遺跡を結ぶ南部ルートに分かれる。カンクンに集中する外国人観光客を南西部に呼び込み、同地域の経済活性化を狙う。

同大統領は、4年以内に約1,500キロに及ぶ鉄道の建設を完了させるとし、民間企業へ投資を呼び掛けた。建設費用について、2019年の歳出計画では約60億ペソを計上しているが、建設費用の大部分は民間セクターの投資によって賄われるとし、建設距離1キロごとに、建設費用の1%を補助すると明らかにした。補助金の支出条件としては、「建設された鉄道が、貨物および乗客を運搬するに十分な強度を持つことを証明すること」としている。

一方で、同計画については収益性についての調査、環境に与える影響の分析が不足している、と指摘されている(「ミレニオ・テレビジョン」ウェブサイト12月14日)。また、同計画に充当される約60億ペソと、新空港の建設中止により新たに生じた、サンタルシア空軍基地の滑走路新設費用約150億ペソの合計が、新空港の建設が続行していれば、財政緊縮政策を掲げていながらも、2019年に発生するはずだった費用約60億3,000万ペソを大きく上回る点も、指摘している(同サイト12月16日)。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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