シンガポール副首相、中東情勢緊迫化によるエネルギー価格上昇を懸念
(シンガポール)
シンガポール発
2026年03月05日
シンガポールのガン・キムヨン副首相兼貿易産業相は3月2日の国会演説で、米国とイスラエルによるイラン攻撃に伴う中東情勢の緊迫化で、エネルギー価格が上昇し、経済に打撃を与える可能性があると懸念を示した。
同副首相は演説の中で、原油や液化天然ガス(LNG)輸送の要衝であるホルムズ海峡が封鎖され、「短期的には国際エネルギー価格が上昇する可能性がある」と述べた。また、紛争が長期化した場合、エネルギー価格の上昇により企業や消費者のコスト負担が増加し、シンガポールおよび世界経済が打撃を受ける可能性があると指摘した。その上で、「状況を注視しており、必要に応じてGDPやインフレ率の予測を見直す」と語った。
貿易産業省は2026年のGDP成長率について、「2.0~4.0%」と見込んでいる(2026年2月16日記事参照)。また、シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は、2026年の総合消費者物価指数(CPI)とコアインフレ率(注1)について、いずれも「1.0~2.0%」と予想している。
MASは3月2日、中東情勢が国内経済や金融システムに与える影響を調査していることを明らかにした。その上で、外為市場および金融市場は引き続き正常に機能していると強調した。また、「シンガポール・ドル(Sドル)の名目実効為替レート(NEER、注2)は依然として上昇基調にあり、これにより輸入インフレ圧力は引き続き抑制される見通しだ」との見解を示した(2026年1月30日記事参照)。
米国の新たな関税措置の影響を情報収集
さらに、ガン副首相は上掲の演説で、米国が2月20日に、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税措置を停止する代わりに、通商法122条に基づき、全ての輸入品に対して最大150日間、10%の課徴金を課すと発表したことに言及した。米国の関税措置の行方は依然として不透明であると指摘し、政労使タスクフォース「シンガポール経済レジリエンス・タスクフォース(SERT)」と連携して情報収集を進めていると述べた。
同副首相が率いるSERTは、2025年4月に米国の関税措置への対応を目的として発足した。2026年1月29日には、経済戦略の見直しに関する中間報告を発表した(2026年2月6日記事参照)。
(注1)総合消費者物価指数から、住宅関連費と自家用道路交通関連費を除いた指数の上昇率。
(注2)MASは金融政策の手段として政策金利を設定せず、年4回(1月、4月、7月、10月)、SドルのNEERの誘導目標(政策バンド)を設定する金融政策を採用している。
(本田智津絵)
(シンガポール)
ビジネス短信 3cb962d57b84ea2b






閉じる