経済戦略見直しで7提言、AIや宇宙技術など新成長分野を創出へ
(シンガポール)
シンガポール発
2026年02月06日
政労使タスクフォース「シンガポール経済レジリエンス・タスクフォース(SERT)」を率いるガン・キムヨン副首相兼貿易産業相は1月29日、経済戦略の見直しに関する中間報告を発表した。報告では、人工知能(AI)分野で先進的な地位の確立を目指すことに加え、量子コンピューティングや宇宙技術など新たな経済成長エンジンの創出を含む7つの提言を明らかにした。同提言を通じて、今後10年の経済成長率目標「年平均2.0~3.0%」の上限に近い成長達成を目指す。
ガン副首相は会見で、同国の1つ目の課題として、国内経済の成熟や外部環境の悪化に伴い、経済成長の達成がより困難になると指摘した。また、2つ目の課題として、AIや自動化により経済成長が必ずしも雇用を創出しないと述べた。その上で、経済成長と雇用創出のための7つの戦略として、(1)既存の主要成長分野での世界的な優位性の確立、(2)量子コンピューティング、脱炭素技術、宇宙技術など新成長分野の開拓、(3)AI先進国としての地位確立、(4)世界市場との連携強化と企業の国際化支援の強化、(5)良質な雇用機会の拡大、(6)労働者の生涯学習とキャリア転換支援の強化、(7)企業の変革支援、を提言した。
SERTは2025年4月、米国の関税措置に対応するため発足した。長期的な経済戦略を見直すための5つの委員会を新設し、検討が重ねられてきた(2025年8月7日記事参照)。政府は、今回の提言を踏まえた一部対応策を2026年度政府予算案(2026年2月12日発表予定)の国会審議で明らかにするとしている。また、SERTは、2026年半ばに最終報告を発表する予定だ。
シンガポール国家宇宙庁を新設、宇宙技術振興で
タン・シーレン人材相〔兼貿易産業省(MTI)エネルギー・科学技術担当相〕は2月2日、MTIの下に4月1日付で「シンガポール国家宇宙庁(NSAS)」を新設すると発表した。NSASは既存の宇宙技術産業事務局(OSTIn)の機能を拡充し、(1)宇宙技術の研究開発(R&D)エコシステムの拡大、(2)宇宙産業の育成、(3)国際パートナーシップの推進、(4)国家の宇宙技術・能力の開発、(5)宇宙関連法制度の整備、に取り組む。発表によると、同国には現在、約70社の宇宙技術関連の企業が拠点を置き、約2,000人の専門人材を雇用している。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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